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あ…



「そ、そうですね、先生のお家ここから遠いんでしたっけ、すみません」



これ以上は先生に迷惑かけちゃう。


もう降りなきゃ。




翔「や、そんな遠くはないし、俺はいんだけど。ほら、あんまり遅いとご両親も心配するから」

「あ、はい…」



そうだ。お母さんに、あんまり遅くならないように、って言われてたんだった。



すっかり忘れてた。




「じゃあそろそろ…」

翔「うん」



シートベルトを外そうと俯くと。




「っ、」



遮るように私の手に触れた櫻井先生の左手。



ドキッとして顔を上げると、先生の瞳と視線が絡む。





翔「ほんとは、まだ一緒にいたい」



「っ、せんせ」

翔「でも今はだめだから」

「…っ」

翔「もう少ししたら、な」

「…はい、」



ふわっと優しく微笑む櫻井先生。



愛おしさで胸がいっぱいになってたら。




眼鏡に手を掛けた先生が、そのまま外してジャケットの胸ポケットに入れた。




街灯に照らされて、色気を増した先生の顔が露わになる。



見惚れてると、不意に右手がすっと伸びてきて、壊れものを扱うように私の頰に触れた。




ゆっくりと近づいてきて触れた唇。




軽く触れただけで離れたそれが恋しくて、もっと、って大胆な気持ちが抑えられなくて。



請うように先生の腕をぎゅっと掴む。




「もっと、ほしい…」


翔「…っ」



初めて零した言葉に、目を大きくする櫻井先生。




けどすぐに細めたら。



今度はさっきよりも少し強く、私の下唇に吸い付いてきた。



角度を変えて何度も私の唇を食む厚いそれ。





「っ、はぁ…」



離れて荒く息をする私の頰を親指で優しく撫でてくれる。




翔「…これ以上はまた今度」

「っ、はい…」

翔「ん、おやすみ」

「、おやすみなさい」




シートベルトを外して車を降りる。




翔「暗いから気をつけて」



ドアを閉める直前、そう言って手を振った櫻井先生。



窓越しに私も小さく手を振り返したら、先生は微笑んでそのまま車を発進させた。




どんどん小さくなって見えなくなった先生の車。



それでも私の唇には櫻井先生の熱がまだ残っていた。

作者より 移行のお知らせ *3/16→←128 *3/13



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作者名:さくらこ | 作成日時:2017年1月26日 20時

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