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先生がそのまま、髪をとかすように私の髪に指を通す。
降りてきた先生の手が首筋に触れて。
くすぐったさに首をすくめたら、先生は、ふふ、と吐息で笑った。
それでも離すことなく首の後ろに回った手。
少し傾けて近づいてきた先生の顔。
その伏し目がちな瞳に、先生のすることを理解した私は、ぎゅっと目を閉じる。
すぐに唇に触れた先生の温かいそれは。
軽く触れると、ちゅ、と淡い音を残して離れていった。
ゆっくり目を開けると、真近で私を見つめる先生と目が合って。
恥ずかしくて、顔を隠すように先生の胸に埋めた。
先生とこうやって過ごせる時間がすごく幸せで。
この準備室でだけ許される時間だとしても、私にとってそれは十分すぎるもので。
それなのに人間の欲はどこまでも深いことを思い知らされる。
これ以上のことは今はまだ求めちゃいけないって分かってる。
でも。
「先生…」
翔「ん？」
「学校の外で会うのは、やっぱり難しいですか」
翔「…え」
「一緒にお出掛けしたりしたい…」
翔「、うん…」
私の呟きに、言葉を詰まらせる櫻井先生。
先生のこと困らせちゃったかな。
慌てて顔を上げると、やっぱり困ったように先生は私を見た。
「っ、ごめんなさい。分かってます、無理ですよね」
翔「うん…俺もしたいけど今は厳しいかな…ごめんね」
「先生は悪くないですっ、しょうがないですよね」
翔「うん、」
「こうやって一緒にいられるだけで十分です」
満面の笑みを浮かべてそう言ったら、俺もだよ、と返してくれる先生。
「…じゃあ、そろそろ図書室行きますね」
ソファから立ち上がろうとしたら、ちょっと待って、と引きとめられて。
翔「もっかいさせて」
そう言って、私に甘いキスをまた1つくれた。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2017年1月26日 20時
