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私の声に足を止めた先生。
翔「あ…小林」
振り返った先生は私を見て、驚いたように目を丸くした。
「あのっ…どこ、行くんですか」
翔「え、あー…保健室」
「え？」
翔「知ってる？校庭からだとここ通った方が近いの」
「へ…そうなんですか、」
知らなかった。
…って、そうじゃなくて！
「なんで保健室？どこか悪いんですか？」
そう聞くと、少し恥ずかしそうな顔をして。
翔「や、ちょっと…足捻ったっぽくて」
え、捻った？
「だ、大丈夫ですか！？」
思わず駆け寄って、しゃがんで見る。
おお、びっくりした、と半歩後ろに下がった先生を不安げに見上げると。
翔「ははっ、そんな心配するほどのことでもないよ、普通に歩けるし。一応湿布だけ貼っとこうと思ってさ」
「…そうですか」
翔「ん、心配してくれてありがと」
先生が優しく微笑む。
「っ、」
その笑顔にドキッとして慌てて立ち上がると、思ったより先生との距離が近くてバッと離れる。
どうしよ。
離れ方ちょっと不自然だったかな。
1人心の中で焦ってると。
翔「正直に言うと、相葉に勝つために頑張りすぎた、かな」
ぽつりと先生が呟いた。
「…え」
翔「けどやっぱ10代の体力には敵わねぇわ、疲労がやばい笑」
心拍数が加速する私とは裏腹に、自虐的なことを言って笑う先生。
なんで。
足を捻るまでして、なんで相葉くんに勝とうとしたの。
「っ、先生、」
翔「…ん？」
「私、見てました。先生のこと応援してました。最後のシュート、かっこよかったです」
翔「小林…」
私の真剣な表情に、すっと笑みを消す先生。
「先生…どうして相葉くんに勝ちたかったんですか？どうして…」
「あの時私にキスしたんですか？」
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作者名：さくらこ | 作成日時：2017年1月26日 20時
