君が教えてくれた恋。 3 (ページ14)

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96 Kazunari side ページ14

和・翔「かんぱーい」

仕事を片付けて、2人で居酒屋へ。

まだ落ち気味の翔さんも、ビールを飲んだら少し生き返ったような顔をした。

和「やー美味いね！」

おつまみに頼んだ枝豆と軟膏から揚げが届いて、それをあてにビールを流し込む。

翔「…ありがとな」

コン、と音を立ててジョッキをテーブルに置いた翔さんが、ぽつりと呟いた。

和「ん？」

翔「俺を気遣って誘ってくれたんだろ」

和「んーなんのこと？」

とぼけたら、そんな俺を見てふふって笑う。

翔「…別れ話の噂、ほとんどほんとのようなもんなんだよね」

和「ほとんど？」

翔「まだ別れてはないけど、それは形式上っていうか。だから聞かれても否定も肯定もできなくてさ」

和「あぁ…」

翔「だけど、綾乃とちゃんと話して、…別れようと思ってる」

和「、そっか」

森先生とは別れることを選んだんだ。

まぁきっともう元には戻れないだろうからね…

理事長に謝ったってのも、そういうことなのかな。

翔「…あの、ニノ」

自分の中で納得しながら、さらに運ばれてきた刺身の盛り合わせに手を伸ばしてたら、翔さんが戸惑いを含んだ声で呼んだ。

和「ん、なに？」

翔「聞かないの？」

和「何を」

翔「その、…別れる理由」

あ、そっか。

まさか俺が知ってるとは思わないもんね。

和「…あのさ、ごめん、実は知ってんだ。たぶんその理由にあたること」

翔「え？…え！？」

言いづらいけどそう言ったら、翔さんは大きな声を上げて目を見開いて俺を凝視した。