93 Sho side ＊2/4 ページ11
翔「すみませんでした」
頭を下げた俺の耳に、理事長のため息が届いた。
放課後。
相当な精神的疲れを感じながらも、やっぱり理事長には直接謝っておくべきだろうと、重い足取りで理事長室へ向かった。
理事長「それは、何の謝罪かな」
翔「え…」
恐る恐る顔を上げると、険しい顔で俺に目を向ける。
理事長「学校中を騒がせたこと？それとも、娘と別れたこと？」
翔「、それは…」
理事長「いや別にね、君たちのことは学校中に知られてることだし、別れたとなったら騒ぎになるのもしょうがないと思うよ。それに、娘の恋愛にいちいち口出すようなこともするつもりは全くない」
翔「…はい」
だけどね、と一旦言葉を止めた理事長に、ごくんとつばを飲む。
理事長「娘と結婚する人には将来この学校を守っていってほしいんだ。櫻井先生にならそれを任せられると思っていたんだがね」
結婚？
学校を守っていく？
突然の大きな話に頭が追いつかない。
理事長「あぁでも強制するつもりはないよ。櫻井先生の人生もあるからね」
焦りが顔に出てたのか。
理事長が俺を安心させるように言った。
理事長「僕は2人のことを応援していたものだから、正直残念なところはあるけども」
翔「すみません…」
理事長「やはり、本当なのか」
翔「、えっと…」
理事長「昼間娘に聞いても何も答えてくれなかったんだ」
綾乃…
ズキッと胸が痛む。
理事長「櫻井先生」
翔「、はい」
理事長「娘の恋愛に口出しするつもりはないとさっきも言ったが…」
理事長「しっかり話し合ってお互いが納得のいく決断をすることは大切なことだ。君たちにはそれが足りてないんじゃないのか？」
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作者名：さくらこ | 作成日時：2017年1月26日 20時
