[暁のヨナ]君にあえて良かった 3 (ページ18)

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来ないで来て怖いよ嫌だ助けてページ18

早く

早くあの娘のもとへ
ヨナ達は、鹿の背中でずっとそう考えている。
風をきって、森の中を駆ける。

早く

早く…！

そのころ、Aは意識を失っていた。リクトによって、睡眠薬を飲まされたのだ。両手両足を縛られ、横たえれている。いや、正確には、意識はあった。ただ、薬によって、体が動かず、声も出せないのだ。

リ:やっと……やっと俺のものになるんだね、A……この5年間、血眼になって君を探したよ…あぁ…本当に綺麗だね、Aは…♪綺麗で、可愛くて、こんなにも美しい…♪

そう言いながら、彼女の頬や四肢を愛撫する。

嫌だ

嫌だ

やめて

やめて

リ:あぁそうだ、A、君をもっと綺麗にする方法があるんだ。

そう言って取り出したのは、鋭利な刃物。なんとか少しだけ目を開けると、鈍く輝く刃が目に映った。

貴:ヒッ…！ぃ、や…！
リ:あれ？もう目が覚めちゃったの？ﾌﾌｯ、まぁいいや。君は、今よりももっと綺麗になれるんだ…♪

刃物をAの肌に押しあて、刃をゆっくりと引く。引いた場所から、赤い、紅い血が溢れでた。

リ:あぁ…綺麗…本当に綺麗だ…！

そのとき、四龍がこちらに向かっているのが、Aにわかった。

貴:(皆…！ダメだ…来ちゃ、来ちゃダメ…！)

お願い
来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来て来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで助けて来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで嫌だ来ないで来ないで怖いよ来ないで来ないで来ないで痛い来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで……！

そう考えている間にも、Aの体はキズがついていく。

リクトは狂っている。そんなこと、わかりきっていたけれど、どこかで、正気に戻ってるって、期待してる自分がいたのかな。
それで、皆が助けてくれるって、思ってる自分がいるんだ。