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彼の話を簡潔にまとめると、韓国に行って生き残りをかけたオーディション(命懸けすぎる)に参加し、無事生存権を得たんだとか。
えっ、君同じ国内にすらいなかったの？？(今ここ)
「はあ」
「ため息ついたね？」
「そんな俺に興味なかったん？」
ぎくりとする。
興味なかったわけじゃないよ。けど怖くて聞けなかった。
好きな気持ちを忘れたくて彼の情報が入りそうなものは全てシャットアウトして。
私と彼の家は隣同士だったからいつか彼の情報が入ってきてしまいそうだったから私はこの家も出てやろうとしたのだけど、さすがにそれは両親からの許可が降りなかった。
だから彼の家族に会わないように身を潜めて彼のいない空白期間を過ごしてきたのである。徹底したのだ。
「連絡先も消したやろ」
じとりと見つめられまた冷や汗がぶわっと出てくる。言い訳する暇もなく、私は白旗を上げた。
「連絡できんくて寂しかった。デビューしたこと1番に報告したかったのに。」
ふん、ってそっぽ向いてちらりと視線をこっちに向けて。あからさまな俺拗ねてますよアピール。ごめん、私が悪かった。
「ごめんね？」
「思ってないやろ」
「思ってるよー！失礼しちゃうな！？」
「連絡先、教えて」
「えっ」
「なんで？嫌なん？」
「ちょっとめんどくさいよ君」
「〇〇ちゃんに会いたかったのは俺だけやったん？〇〇ちゃんにとって都合のいい男やったん？」
「メ ン ヘ ラ で す か ？」
ぐい、と詰められる距離に後ずさりをしつつなんとか交わすもやっぱり彼は折れてくれず、結果はみなさんご存知の通り。
「ありがとう」
「…ぐっ、(唇噛み締める)」
会わない間にいつの間にか肝が座ってしもうて。お姉さん、君をそんな子に育てた覚えはありませんよ(遠い目)
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作者名：山桃 | 作成日時：2024年1月12日 16時
