今日:114 hit、昨日:31 hit、合計:45,770 hit
小｜中｜大
･ ページ7
･
彼の顔を見て、言葉を咀嚼して、また彼を見て、彼に握られている手を見て、また彼を見る。
昔の記憶が蘇って約3年前の彼とは見違えるほど大人びていて、かっこよくなった彼の姿に息を飲む。
「なんで、」
「知り合いなん？」
「うん」
どうすればいいのかわからなかった。
ただ、動揺して、困惑した。
アイドルになるために私から離れたんじゃないの？
夢は叶ったの？
どうしてここにいるの？
どうして私の名前を呼んだの？
聞きたいことなんて山ほどあった。
それでも、こんなところを誰かに見られては困ると私は逃げた。
彼らを早々に店から追い出した。
「またお越しください」
「Aちゃん、待って」
「出口はあちらです。」
友達に引きずられるようにお店を出て行った彼を見届け、ほっと胸をなでおろす。
ばくばくと心臓の動悸が止まらない。
手が震えて呼吸も浅くなる。
うれしかった。
私を覚えていてくれたこと。
声をかけてくれたこと。
でも、こわくもあった。
アイドルになってきらきらした彼を見ることが。
「…はあ」
「Aちゃん？！どないしたん！顔色めっちゃ悪いで！？」
「大丈夫です、ノルマ達成します」
「ノルマて。体調悪くなったらすぐに言うんやで？わかった？」
「はい」
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 293人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山桃 | 作成日時：2024年1月12日 16時
