病 (ページ44)

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『ぎゃー！なにすんのなにすんの！』

『むかつく』

『なんですってえ？！』

次から次へと雪玉を作って投げてくるソウォンに負けじと私も雪玉をぶん投げた。

『彼のためとか言ってるけど、逃げてるだけでしょ。
会いたいなら会いに行きゃあいいじゃん。言い訳すんな』

『もう少しオブラートに包めないの？』

『妖怪逃げ腰女うじうじに優しくする必要ある？』

手に付いた雪を払い、私に向き直るソウォン。

『その男、女いんの？』

『しらん』

『歴代彼女はあんただけ？』

『しらん。…職業が特殊なの』

『出会いは？』

『に、日本』

『今も？』

『…韓国』

『日本から韓国、特殊な職業、別れざるを得なかった…』

顎に手を当ててまるで探偵みたい。
ねえ何考えてるの？

『あんたの好きな人わかった』

『絶対わかんない』

『こほん、ずばり！アイドルでしょ！』

『(動揺)』

『ビンゴだ〜！！』

『ちがうし！』

『もう遅いわ。爪の甘い女め』

『やかましいわ』

『日本人アイドル…私アイドル詳しくないんだよな』

『意味なし』

やる気失くしたソウォンさんはコンビニへ入店。
やだこの人自由すぎ。

『置いてかないでよソウォンちゃーん』

『アイドルは諦めな。今日は私の奢りだよ』

イケメン！
私の彼氏になる？なんて言えばあしらわれてしまったけれど。

ソウォン様奢りのあったかいコーヒーに口をつけ、ほっと一息つく…が。

前を見ていなかった私が悪かったんだけどさ。悪かったんだけどさ！目の前から来た男とごっつんこした。

『ごめんなさい！やけどされてませんかあ！』

謝罪は社会人の基本中の基本だとブラック上司に叩き込まれたおかげで土下座は息をするように出た。

その男が着ている白のダウンは私がぶっかけたコーヒーで茶色いシミをつくっていて。

いやあ！ごめんなさい！(涙)

『服弁償しますので！クリーニング代も新しい服代のお金も！…あっ、今手持ち1000円しかありませえん！』

私のお財布から出てきたのはよれた1000円のみ。
お財布を逆さにしても小銭すらでてこない。

…他人のフリするソウォンさん、こっちみてくれてもいいんだよ？薄情者め！！

相手の男もなかなか返事をしなくて、かなり怒ってるんだろうなあ。

さようなら、私の人生。
お父さん、お母さんここまで育ててくれてありがとう。

自分の行く末を案じて念仏を唱えていると、懐かしい匂いがした。

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