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結果から言うと、あの合コンは最悪だった。男が。
なにが最悪だなんて思い出したくないほど、最悪。
そして口直しするべく2軒目の居酒屋へ来店した私たち。
『なんか怖いから連絡先消した』
『正解』
おいしいものをたらふく食べて、幸せな気持ちに満たされたまま外へ出た。
『ひい、さっぶー』
寒くてソウォンに引っ付けば、跳ね返された。ひどい。
『……私ね、会いたい人がいるんだ』
『会いたい人?』
別に話す必要もないのに、昔の話をしたくなった。
寒くて、綺麗な星空のせいで感傷的になってしまったのかも。
…うん、酔ってることにしちゃおう
『何年前かは酔ってる頭じゃだめなんだけど、私が大学3年生のとき初恋の人と再会したの』
『へえ』
『…初めての彼氏。
忘れたつもりだったのに、また出会ったらすぐ好きになった。
…だけど結局その子のために諦めた。その子に直接言ったの。もう会わないって』
聞いてるのか聞いてないのかはわかんないけど、空を見上げて白い息を吐くソウォンをちらりと見て、また前を向く。
『私から縁を切ったくせに今も会いたいっておこがましすぎるよね。元気にしてるかな、ご飯食べてるかなって心配しちゃう。夢にまで出てくるの!それこそ気持ち悪いよね!いやだな、諦めたいのに』
『諦める必要なくない?』
『どうして?
もう会えないのに初恋の人が忘れられないからって彼氏作らないんだよ?痛い女でしょ?』
『無理に諦める必要ないじゃん。だって好きなんでしょ?
好きから嫌い、なんてよっぽどのことがない限り無理無理』
『会いに行く方法はあるんだ。だけど怖くて会えないの』
ふうん、とだけ言って高いヒールで道の端っこに寄って、しゃがんでなにかしているソウォン。
すると、なにか白い塊が私の方へ飛んできた。
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作者名:山桃 | 作成日時:2024年1月12日 16時