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『A、この前言ってたカフェ行かない?』
『行きたい』
『あと、合コン行かない?このあと♡』
『行かない♡』
『ごめんね、拒否権とかないから』
『さいですか』
彼女の名前はイム・ソウォン。
同じ職場の同僚である。
私は大学卒業を機に韓国へ引っ越した。
本当は引っ越したくなかったのだけど、父の仕事の関係で韓国に住まなければならないらしくて。
それで私たちの住んでいた家を母の妹家族に譲ったらしい。
そんなことをされると私がそこに1人で住むなんてことはできず、家族仲良く韓国で暮らしている。
『Aは男に無頓着すぎるのよ』
『今は恋愛とかいいかなって』
『出会った時から同じこと言ってるよ』
じりじりと詰め寄る彼女に思わず後ずさりしてしまうが、上司に怒られたので真面目にデスクと向き合った。
そうして就業時間までなんとか働く。
こういうときに限って残業にならないから肩を落とす。
神様の意地悪!!ふん!!
ソウォンから逃げようとしても彼女とはデスクが隣同士なので逃亡を試みることすらせず、そのまま連行。
『マジで今回限りだからね』
『とか言ってえ、また来てくれるんでしょ?』
『…ちょっと野暮用が』
『待って待って』
この女ほんと力強い。
抵抗も虚しく、ずるずると引きずられ、居酒屋へと連れて行かれた。
『遅くなってすみませーん』
『や、俺らも今来たとこなんで』
こうして三十路女の熱いバトルが幕を開けた(カンカンカーン!!)
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作者名:山桃 | 作成日時:2024年1月12日 16時