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『私の目を見て』
「…俺がAちゃんに伝えたい言葉はいつだって、日本語だよ」
彼女の肩が揺れた。
彼女の瞳が揺れた。
「韓国に行ってからも忘れたことなんてなかったし、会えへんのもつらかったけど、俺の夢を応援してくれたAちゃんに俺の夢が叶わなかったことを伝えるほうがもっとつらかった。」
「毎日会いたかった。抱きしめたかった。声が聞きたかった。
…でも、頑張らんとAちゃんに会えへんやん。Aちゃんは褒めてくれへんやろ?」
「デビュー組に入れんくて日本に帰ったとき、Aちゃんに会えるのを楽しみにしとった。やのにアメリカおるって聞いて悲しかったし、寂しかったけど俺も応援しようって。」
「それからすぐ韓国に戻ることになって、Aちゃんに会えへんまま日本を離れた。
あのとき会えてたらって思ったけど、もし会ってたらAちゃんと離れるのが惜しくて韓国行ってへんかったかもしれへん」
「でも、もしあの時こうなるってわかってたら意地でも会ってればよかった。会いに行けばよかった。」
「Aちゃんも会えへんくなるくらいならアイドルになんかならんかったらよかった」
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作者名:山桃 | 作成日時:2024年1月12日 16時