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『オンニ!やばかったですね!アサヒオッパからタオルもらってたじゃないですか〜!』
『なんで私なんかに。』
『そんなのオンニが可愛いからに決まっているでしょう!
…あ、写真撮りませんか?私たちが出会った記念に!』
ぱしゃり、と記念に1枚。
今更だけど、彼女の名前はソアちゃんと言うらしい。
『そういえば、どうして泣いていたんですか?』
『えっと、』
『ごめんなさい。踏み込みすぎですよね。』
『大丈夫。…ただ、もう終わりにするつもりでね』
『トゥメをやめるってことですか?』
『私、彼らのファンじゃないんだ。誘ってもらって、それで。』
『メンバーの誰かと繋がりが?』
『…秘密ね?』
『もしかして、うそ、ほんとうに?』
『勘がいい子だねえ。ファンの子たちは気分悪いと思うけど、もう終わりだから。…ちゃんと離れる覚悟で来たの。
ただ、彼の夢を一度でいいからこの目で見たくて。』
『じゃあ泣いてたのも全部?』
『あはは、みっともないよねえ。未練がましく彼を思ってるなんて』
自嘲気味に笑えば、ぎゅうと私を抱きしめるソアちゃん。
『みっともなくなんかないです!綺麗な想いなのに、オンニがその気持ちを否定してどうするんですか!』
『彼の立場が立場だからこんなこと誰にも言えなかった。
このことを話したのはソアちゃんが初めてだよ』
成り行きだけどね、と笑ってみせるとつられてソアちゃんも笑った。
そんなとき、携帯が震え、その相手は彼で。
今から会えないか、という内容だった。
『ソアちゃん、私戦ってくるわ!』
『応援してます』
『自分勝手なんだけどさ、このことは秘密にしてほしいなあって』
『わかりました。誰にも言いません。
…でもオンニとの写真あげてもいいですか?』
『…うむ、許可しよう』
『連絡先、教えてもらえませんか!ここでお別れしてしまうのはなんだか惜しくって。』
『……もちろん!』
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作者名:山桃 | 作成日時:2024年1月12日 16時