・ ページ22
・
『でも、みなさんにとって私のこの気持ちは邪魔でしかないだろうから、また、忘れます。
一度忘れられたから、今度はきっと、もっと楽に忘れられます。』
『…ごめん、簡単にヨリを戻すなって言って。
つらくないはずがないのに。…無神経だった、ごめん。』
優しくなでるように私の涙を拭うジフンさん。
なんでジフンさんが泣きそうなのさ。
『謝らないでくださいよう。
それに、私の方こそ申し訳ないです。』
『どうして?』
『初対面なのに、ほぼ愚痴みたいなの聞かせちゃって。
しかも涙を見せるおまけつき。
…でも、聞いてくださってありがとうございました。』
ぺこりと頭を下げれば、ぷぷぷ、と頭の上から笑い声が聞こえてきた。
『どうして笑うんですか?!』
『だって、俺は君に嫌な気持ちにさせたはずたのに、頭を下げてお礼を言えるなんてすごいなって』
『あはは。嫌な気持ちなんて、そんな!
ジフンさんのおかげで気持ちの整理もつきました。感謝してるんです。…嘘じゃないですよ?ほんとうです。』
『感謝されるって、なんか、いいね』
『何言うてるんですか』
けらけらと楽しそうに笑うジフンさんに白けた目を向ける。
そんな私なんてお構いなしにまだ笑い続ける彼。
なに笑ってやがるんですか??
・
293人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:山桃 | 作成日時:2024年1月12日 16時