病 (ページ11)

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「抱きしめてもいい？」

「唐突ですね」

「約3年ぶりのAちゃん堪能させてや」

「変態チックだよその言い方」

「ならキスしたいのほうがよかった？」

「抱きしめでお願いします」

ちえ、って不満そうに舌打ちをする彼があまりにも愛おしくて、このまま彼のペースに流されてしまいそうで。

そのまま距離を縮め私を抱きしめる彼の腕にすっぽりと収まる。

そんな彼の胸はどんどこ鳴っていて、
それもまた可愛くて、くすりと笑を零せばまた不満そうに文句を言って。

しあわせだった。昔に戻れたようで、しあわせだった。

そうしていて何分たったのかな、彼のメッセージを知らせる通知が鳴った。

「あ、ごめん。俺、もう戻らな」

「ん、じゃあ、ばいばいだね」

「…また、連絡するから」

名残惜しそうにするりと私の頬をなで、帰っていく彼の背中をぼーっと見つめた。

あのときに蓋をして、取り出せないような深いところに閉まっていた気持ちと記憶がむくむくと大きくなって、溢れだしてしまいそうだった。

あれだけつらかったのに。

忘れようと努力して、そして忘れて。

それなのにどうしてこんなにも簡単にあのときの気持ちと記憶が戻ってきちゃうんだろう。

不思議で、かなしくて、ちょっぴり泣けた。

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そんな彼から連絡がきたのは彼と連絡先を交換した2日後だった。

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