楠だって風邪ひくんです (ページ8)

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ラウールくんの場合ページ8

(ラウールside)

くすのき熱を出しました。明日一日休めば治ると思いますが、念のためご連絡させていただきました。のどの風邪ですので、うつすといけないのでメンバーには内密にお願いいたします。夜分に失礼いたしました。

ラ「えっ、風邪！？」

大変大変！！
え、えっと、えっと、とりあえずたぶんこれは誤爆だから、樺さんに転送して…え、どうしよう、行った方がいい？のかな？
けど内緒って言ってるし…どうしたらいいんだろう…

あ、電話！電話してみよっかな！

pppppp

A『…はぁい』

ラ「あ、Aさん！？熱大丈夫？」

A『へぁ！？なんでそれ知ってるの？』

ラ「たぶん樺さん宛かな？あのLINEが俺のとこに届いたんだよ。安心して、樺さんには転送しておいたから！」

A『あ、ありがと…にゃーーー…メンバーには知られたくなかったのにぃ…』

ラ「他の人には言ってないよ、大丈夫！」

そっか、心配書けたくないんだよね、Aさんは…わかる気がするけど…なら！

ラ「ねぇ、俺だけが知ってるからさ。俺にできること、ない？」

A『できること？』

ラ「うん、できること。…ないかな、俺なんか…」

静かになった。

できること、ないよね。免許もないし、経験も、知識もないし…やっぱ無理なのかな、Aさんを助けるなんて、俺には…

A『…わがまま、いってい？』

ちっさく、聞こえてきた声。

ラ「う、うん！もちろん！」

A『じつはさ、ちょっと、寂しくて…わたしが寝るまで、電話繋いでていい？寝たら切っていいから』

ラ「そんなんでいいの？」

A『それが、いいの』

ラ「う、うん！じゃ、お話ししよう」

A『うん、お願い』

それから。

ゆっくり、ゆっくり、お話しして。

ラ「それでねー…Aさん？」

A『……』

ラ「…ねた？」

A『……すーーー…』

反応がなくなって、小さく寝息が聞こえて。

ラ「…おやすみ」

電話を、切った。

おやすみ。
俺なんかでも、支えになれたかな。

また次あった時、笑ってくれるかな。

元気になってね。

またお話ししようね。