此処に居る理由 1 ページ24
俺の家、この近くなんです。
と、言っておきながら裕翔の家は雑居ビルのある繁華街からちょっと電車に揺られた場所にあるマンションだった。
裕翔「どうぞ。ちょっと散らかってるかもしれないけど。」
裕翔は玄関のドアを開け、伊野尾を部屋へと促す。
几帳面な性格なのだろう。
きちんと整理整頓された棚。
お洒落インテリアがさり気なく置かれている。
また、ドラムセットにピアノ。ダンベル等の筋トレグッズが置かれている部屋もある。
いろいろと部屋を案内された伊野尾は
伊野尾「裕翔は多趣味なんだね。」
と感心している。
裕翔「興味があることは、なんでも挑戦してみたくなっちゃうんですよ。」
伊野尾「すごいね!優しくて何でも出来ちゃうなんて!」
裕翔「そんなことないですよ。」
裕翔は照れ笑いをしながら頭をポリポリとかく。
伊野尾「あっ!なんかドラムかピアノやってみてよ。」
裕翔「えっ?なんか恥ずかしいです💦」
伊野尾「いいじゃん!バンドとか組んでないの?」
裕翔「あ〜…俺の仲間で楽器ができる奴が居るんで、たま〜に音合わせてますよ。」
伊野尾「薮はなんか弾けるの?」
裕翔「薮君はギ……………あっ…」
一瞬にしてに裕翔はハッと青ざめて右手で口を塞ぐ。
伊野尾「薮はギターなんだ。」
伊野尾は「ふぅ〜ん」と影の指した笑みを浮かべ、裕翔を見つめる。
裕翔「なんで………?」
伊野尾「裕翔、分かりやすいよ。」
伊野尾はケラケラと肩を振るわせて笑う。
裕翔「いつから……?いつから気づいてた?」
伊野尾「ま〜始めから違和感はあったよ。そもそもあの店に来る客にまともな奴は居ない。」
伊野尾は裕翔の周りをゆっくり歩きながら、淡々と語り始める。
伊野尾「でも確信が持てたのは、裕翔が迷わず知 念に話しを聞きに行った時かな。」
裕翔は「あちゃ〜…」と額に右手に当てて天を仰ぐ。
伊野尾「あの時、知 念は私服だった。制服着た警察官が近くで警備してるのに、わざわざ私服の警察かもわからん奴に話し聞かなくない?」
伊野尾は裕翔の表情を伺うように覗き込む。
裕翔「観察力、エグッ!」
裕翔は溜め息混じりに言葉を吐き捨てる。
裕翔「じゃ〜そこまで分かってて、どうしてついて来たんだ?」
裕翔は前髪を掻き上げると、今までの真面目な好青年の仮面を脱ぎ捨てた鋭い眼光が伊野尾をさす。
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サツキ(プロフ) - 青空さん・コメントありがとうございます!嬉しいです!かっこいいjumpちゃん、書けるように頑張ります!! (3月27日 22時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - 楽しみにしています。かっこいいjumpちゃんを! (3月27日 22時) (レス) @page20 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サツキ | 作成日時:2024年2月3日 17時