此処はマズい １ ページ22
裕翔と伊野尾が雑居ビルから出て戻って来たのは、もう日が沈みかけている時だった。
なので、目の前に煌々と照らされた赤のランプが遠くからもよく見える。
何台もの消防車にパトカー。
規制線の張られた物々しい雰囲気に、なんだなんだ？と野次馬が首を伸ばして見ている。
その中に見たことのある可愛い顔。
伊野尾は一瞬にして顔が強張り視線を落とす。
その瞬間に伊野尾の視界が黒くて大きなモノに遮られた。
ハッとして顔を上げると、
裕翔「これ、掛けて。気休めかもしれないけど……」
裕翔は自分が掛けていた眼鏡を、そっと伊野尾に掛けてやる。
少しだけ膝をかがめて目線を合わせる裕翔は、申し訳無さそうにハの字に眉をひそめながら優しく微笑んでいた。
伊野尾「うぅ〜ん。ありがとう…。」
伊野尾は頬を赤らめて俯きながら答えた。
裕翔「あそこ…お店があるところですよね。俺、ちょっと何があったか聞いてきます。」
裕翔は伊野尾を気遣いつつ、優しい笑顔のまま小走りで先を行った。
伊野尾はその場から動けないまま、心配そうに裕翔の背を見つめる。
裕翔「すみません。何かあったんですか？」
裕翔が話しかけたのは、あの可愛い顔の人物。
知 念だった。
知 念と裕翔がしばらく何かを話していたが、すぐに裕翔は伊野尾の元に駆け戻って来た。
裕翔「お待たせしました。どうやら、お店で小火があったそうですよ。」
伊野尾「小火？」
伊野尾は手を口元に当てて、あきらかに動揺している。
裕翔「燃えたのは、お店の事務所と書類関係みたいです。後、お店はもぬけの殻で怪我人も居ないそうです。」
伊野尾「誰も居なかったってこと？」
裕翔「はい。」
伊野尾「そんな………」
伊野尾は顔をしかめながら、いろいろと考えを巡らせる。
そんなやり取りをしていると、裕翔の背中越しに知 念が怪訝な表情を浮かべながら伊野尾達に近づいて来るのが見えた。
伊野尾「(此処に居るのは、マズい…)」
伊野尾「裕翔、行こっ！」
伊野尾はさっと踵を返すと、裕翔の手を取りその場を足早に去った。
その２人の様子を目を細め、呆れたように頭をくしゃくしゃと軽く掻きむしる。
知 念「ったく！いつまで其処に突っ立てるつもりなんだか………。」
警官「知 念巡査。どうかされたんですか？」
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サツキ(プロフ) - 青空さん・コメントありがとうございます！嬉しいです！かっこいいjumpちゃん、書けるように頑張ります！！ (3月27日 22時) (
レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - 楽しみにしています。かっこいいjumpちゃんを！ (3月27日 22時) (レス) @page20 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サツキ | 作成日時：2024年2月3日 17時
