虜 2 ページ17
高木の脳裏に知 念が言っていた「一家殺傷事件」のことが浮かぶ。
両親はその場でシ亡を確認。
妹は多臓器不全で尚も入院中。
臓器移植を行わなければ厳しい状況だと……
高木「(やっぱり妹が絡んでるのか?高額な治療費?)」
考え事をしていた雄也の思考を遮るかのように、薄茶が必死で呼び掛ける。
薄茶「雄也さんっ!雄也さんっ!急に黙ってどうしたんですかっ?」
かまってくれと、言わんばかりに高木の腕にしがみついて体を揺らす。
高木「あ〜。ごめんね。此処のオーナーってどんな人なの?君みたいな可愛い子を魅了させちゃう人?」
高木はイタズラっぽく笑う。
薄茶「まさか!最悪ですよ……。始めは甘い言葉で誘っておいて、最後には俺等の弱みに漬け込んでやりたい放題………大杉本は悪魔です!」
高木「大杉本っていうの?オーナーさん。」
薄茶「はい。大杉本は客から結構な高額取るのに、俺達に配当されるのは微々たるもんですよ。」
薄茶の語気がだんだん強まり、鬱憤や不満が溢れ出す。
これだけ罵詈雑言を言えるということは、この部屋に防犯カメラ等は無いということだろう。
高木「さっきの、「青」っていう人は妹さんのことで脅されてるってことだよね?妹、なんかあったの?」
高木は興奮状態で話す薄茶を宥めつつ問い掛ける。
薄茶「大怪我して治療費が必要とか……?でも、それだけじゃなさそうですよ。薬を作るのに「青」さんの…何だろう。あっ!献血!【血】だ!【血】が必要みたいです。」
高木「【血】?ふ〜ん。君、すごく「青」についてよく知ってるんだね。」
薄茶「たまたまですよ。忘れ物して閉店後に来たら青さんが大杉本に迫られてるとこを見ちゃって。」
高木「…………」
薄茶「嫌がる青さんに大杉本が脅し文句に「妹」だの、【血】だの言ってたんで。」
高木「で、君はこっそり立ち聞きしてたんだ。」
薄茶「触らぬ神に祟りなしですよ。変に正義感出してとばっちり受けるのは懲り懲りです。」
高木「そうだね………」
雄也はそう呟くと、ゆっくりベットから体を起こす。
薄茶「雄也さん?」
高木「じゃ〜、俺帰るよ。」
高木は淡々と身支度を始める。
薄茶「えっ?もう?待ってください。」
薄茶は縋るように高木のシャツの裾にしがみつく。
高木「離せよ。」
高木が冷たい目線を薄茶に向けた。
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サツキ(プロフ) - 青空さん・コメントありがとうございます!嬉しいです!かっこいいjumpちゃん、書けるように頑張ります!! (3月27日 22時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - 楽しみにしています。かっこいいjumpちゃんを! (3月27日 22時) (レス) @page20 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サツキ | 作成日時:2024年2月3日 17時