薬 ２ ページ2
伊野尾「くろ…べ…かわ…さん……。くる…しぃー…。」
目に涙を溜め潤んだ瞳。
頬は赤みを増し、わずかに開いた唇からハァハァと甘い吐息が漏れる。
黒部川を求めるように伸ばされた手は震えながら宙をさまよう。
黒部川「あぁ〜。伊野尾君…」
黒部川はうっとりしながら伊野尾の手を取り、自分の頬に押し当てた。
黒部川「ごめんね。苦しいよね。でもデータを取るまで我慢してね。後で楽にしてあげるから。」
伊野尾「もう………ム…リ…。」
伊野尾が白目を向きながら意識を飛ばすと同時に、スルリと力なく黒部川の頬から伊野尾の手が滑り落ちた。
伊野尾「俺の血に異変が起きた直接の原因はその後の出来事からだと思う。
ま〜、それまでも何度も何度も得体の知れない薬を飲まさせて、体のデータ取られて、黒部川にヤられての繰り返しだったけとね。」
伊野尾は両指を組むと、欠伸をしながら両腕を胸の前でぐぅと伸ばし、少し投げやりな言い方をした。
他人事のように……。
伊野尾は足を組み、ぼんやりと目線を少し天井に向けて話しが続けた。
伊野尾「しばらくしてさ、いつもみたいに薬の副作用で変に
なってる時に、なぜか大杉本が来たんだよね。
1人で。
んで、めちゃくちゃにされた。
今思えば、黒部川への仕返しでもあったんだろうね。
俺、マジでぶっ壊れてさ。
もう途中から息も絶え絶えだったみたいだから覚えてないけど、黒部川が異変に気づいて駆け付けて来たんだと思う。
んで、救命処置で打たれた新薬がヤバかった。
体中の血が沸騰してんのかってぐらい熱いし苦しいし…あっ、名探偵コ◯ンみたいにガキになるんじゃね？みたいな(笑)」
伊野尾はケラケラと肩を揺らして笑いながら語る。
山田はすごく違和感じ、視線を若干落とした。
これまでいろんな依頼人が来て、いろんな話を聞いた。
恨み、欲望、絶望、希望、色恋、復讐………
その話しの主語は「自分」であり、何かしらの「自分」の気持ちがこもっているものだ。
でも伊野尾の話しは途中からの主観から客観に変わった。
「自分」が消えた。
伊野尾から発せられる言葉と、気持ちがバラバラに聞こえる…
伊野尾「そんな顔すんなよ。山田…。」
山田は、ハッとして伊野尾の顔を見る。
その時に目に映った伊野尾の表情は泣いてるとも、笑っているとも言えるようで違うものだった。
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サツキ(プロフ) - 青空さん・コメントありがとうございます！嬉しいです！かっこいいjumpちゃん、書けるように頑張ります！！ (3月27日 22時) (
レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
青空(プロフ) - 楽しみにしています。かっこいいjumpちゃんを！ (3月27日 22時) (レス) @page20 id: a1f6031022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サツキ | 作成日時：2024年2月3日 17時
