綺麗なお兄さん １ 微※ ページ9
伊野尾はある繁華街の裏路地ある寂れた小さな公園のベンチに座っている。
周りの店はシャッターが閉まり、人通りはほほ無い。
昼は季節外れの暑さが残っているが、夜になるとやはり寒くなる。
伊野尾は細身のデニムに白のTシャツ、オーバーサイズの青いカーディガンを羽織っている。
伊野尾は少し身震いをしてデニムのポケットに両手を突っ込み足を組むと、天を仰いだ。
伊野尾「どうしよっかな〜…。」
ポツリと呟いた後、しばらくそうしていると、伊野尾に近づく足音。
カサッカサッと落ち葉を踏み付けながら３人の男性が近づき伊野尾を囲むように立ち塞がる。
男１「ねぇ、お姉さんこんなところで１人で居るの？危なくない？」
伊野尾「……………」
伊野尾は黙って男１を見上げる。
男１「うわっ！めっちゃ美人じゃん。」
男達は伊野尾の顔をまじまじと見て鼻息を荒くする。
男２「どうよ？一緒に遊びに行かない？」
男３「楽しいことしよ？」
男３が伊野尾の横に座り、馴れ馴れしく肩に手を回す。
伊野尾は軽蔑するかのように肩に置かれた男３の手を横目で見る。
男２「ねぇ〜。何か言ってよ〜。」
男に２が鼻の下を伸ばしながら伊野尾の顔を覗き込む。
伊野尾「ハァ〜………」
伊野尾は盛大に大きなため息をつく。
伊野尾「俺、男だよ。分かって声かけてる？」
男達は一瞬だけ狐につままれたような間の抜けた表情を見せた。
が、すぐに笑い出す。
男１「やべぇ〜！お兄さんなの？」
男３「いい！いい！こんなに美人ならお兄さんでも余裕でイケる。」
伊野尾「俺は、今そんな気分じゃないの。」
伊野尾は男３の手を肩から乱暴に振り払うと立ち上がる。
伊野尾「また今度ね。」
伊野尾は男１と男２の間をすり抜けてその場を去ろうとした。
が、男１にガシッと右腕を掴まれる。
そして顔の前辺りにまで腕を上げられ、そのまま後ろに捻じられる。
伊野尾「痛っ！」
伊野尾は腕の痛みに顔をしかめる。
男１「おいっ！何勝手に行ことしてんだよ。」
さっきまでのヘラヘラした下品な笑いが消え、雄の顔つきで伊野尾に迫る。
伊野尾「離せよっ！」
伊野尾は体をよじって右手を懸命に振り払おうとする。
男１「てめぇに選択権なんてねぇよ。」
本格的に拒み出した伊野尾を男１は力任せに抑え込む。
伊野尾「やめろっ！ふざけんなっ！離せって！」
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作者名：サツキ | 作成日時：2023年11月7日 19時
