贖罪 ３ ページ50
黒部川は大袈裟な身振り手振りを交えて伊野尾に喜々として語る。
言葉が蛇のように伊野尾の心に絡みつく。
ゆっくりと…優しく…そして締め付けていく……
それと同時に思考を手放していく伊野尾。
伊野尾は震える両手を伸ばし小瓶を受け取ろうとするが、あまりに震えているため上手く掴めない。
黒部川「大丈夫。私が飲ませてあげるよ。」
黒部川は伊野尾の肩をそっと抱き寄せ、横向きに抱え込む。
伊野尾は抵抗することなく、黒部川の胸に頬を寄せる。
黒部川「いい子だ。」
黒部川は小瓶の薬を一気に口に含むと、そのまま伊野尾の顎をクイッ持ち上げた。
そして伊野尾の口に自分の口を重ねる。
伊野尾「うっ…ぐ………」
伊野尾の口内に液体が流れ込む。
伊野尾は少し苦しそうに顔をしかめながらも、無条件で流れ込む液体を飲み込む。
しばらくして解放される唇。
伊野尾はケホケホと軽く咳き込むと、口元からつぅーと一筋の液が流れる。
伊野尾はそれを拭うことなく、ぼうっとしたまま全く気にも止めない。
黒部川「さぁ、ベッドに行こうか。」
黒部川は伊野尾を優しく抱きかかえ、ベッドに横たわらせた。
抜け殻のようにベッドに横たわる伊野尾。
その瞳には光はない。
元々色白のきめ細かい肌は、さらに透き通って見えるほど色がない。
黒部川は伊野尾の口元に流れる液をそっと拭う。
黒部川「美しいね。人形のようだ。」
そして、そっと伊野尾の唇にキスを落とす。
黒部川「今は、ゆっくり休むといい。
…………………今は、ね…………………………」
黒部川は愛おしそうに伊野尾の顔をしばらく眺めた後、部屋を出て行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サツキ | 作成日時：2023年11月7日 19時
