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過去の話し　３ページ40

黒部川は回転していないお寿司屋さんに伊野尾を連れて行ってくれた事もあれば、お洒落なバーに連れて行ってくれたこともあった。

頻度は３〜４ヶ月に一回ぐらいだろうか。そしていろんな話しをした。

仕事の話し、勉強の話し、恋愛話し、家族の話し…

伊野尾の通う大学は結構ハイレベルな大学。

伊野尾自身も頭の回転が早く、知識も多いほうだと自負していたところがる。

そんな伊野尾が黒部川と話すと自分の無知さを思い知らされる。

自分の思いもしない発想と広く深い知識。

伊野尾は黒部川とご飯やお酒を酌み交わすことが楽しみで仕方なかった。

そして黒部川との出会いから４年近く経った。

伊野尾は就職について、本格的に考えなければならない時期にきていた。

伊野尾が選考していた学科は建築学。

卒業後は建築コンサルタントやハウスメーカー…

さらに資格をとる勉強をして建築士という道もある。

そんな中、久しぶに黒部川からお誘いの連絡あり、次の土曜日の夜に食事に行く約束をした。

伊野尾は、そこで黒部川に将来について相談をしようと思っていた。

黒部川なら自分の将来にとって有意義な考えをもたらしてくれるはずだと…

土曜日の夕方。

ドラッグストアのバイトを終えた伊野尾の前に白のセダンが止まる。

伊野尾は嬉しそうに助手席に素早く乗り込むと、いつもの優しい笑顔の黒部川が運転席に座っている。

走り出す白のセダン。

そして、伊野尾の未来は大きく変わる。