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あっ…あの〜…　２ページ36

伊野尾を見つめて目がハートマークの知念だが、知念も小動物のような可愛い顔面をもっている。

知念と伊野尾が見つめ合うと、可愛いの大渋滞を引き起こしていると言っても過言ではない。

山田がハッと我に返ると、伊野尾から離れようとしない知念に対し、大きなため息をつき知念の紺のスーツの襟根っこを鷲掴み引き離す。

山田「お前、いい加減にしろ。今、大事な話し中！！」

襟根っこを掴まれた知念はジタバタと山田の手を振り解こうと暴れるが、ズルズルと引きずられながら伊野尾から知念が引き剥がされる。

知念「あ〜んっ！！何すんだよ！涼介！！離せ〜っ！」

山田「ここに座ってろ〜っ！」

自分が座っていたソファの横に知念を放り投げた山田は、眉間にシワを寄せ額に青筋を立てている。

ゴゴゴゴゴ〜ッと山田の怒りが背後に轟音となって轟いているのが聞こえてきそうだ。

知念はそんな山田を物ともしない。

知念「なんだよ〜！涼介のケチッ！」

知念は床にあぐらをかいて口を尖らせ悪態をついている。

山田と知念を呆れてように傍観している薮と八乙女の様子からすると、この２人のやり取りは日常茶飯事なのかもしれない。

だが１人、尚も戸惑っている伊野尾はソファからずり落ちそうな体を必死で背もたれにしがみついて耐えていた。

薮はそんな伊野尾に苦笑いを浮かべつつ、申し訳無さそうに

薮「伊野尾、話しの腰折って悪かったな。こいつは知念侑李。刑事だ。」

伊野尾「刑事？」

知念「はいっ！自分は捜査一課所属の知念侑李警部補であります！」

知念が勢いよく立ち上がり、わざとらしくピシッと敬礼をして伊野尾に自己紹介をした後、今度はサッと素早く座ったかと思うと、無駄に背筋を伸ばして体操座りをして口をすぼめる。

薮「ま〜、こいつも俺達の仲間だ。安心していい。この前、男３人に絡まれただろう？あの後処理を頼んだのがこいつだ。」

伊野尾は(あ〜………そういえばあの時〝知念を呼んだ〟と薮が言っていたような………)とぼんやり思い出だす。

薮「伊野尾。」

薮に名前を呼ばれ、話しを続けるよう目で促される。

伊野尾はソファにゆっくり座り直すと、目をつぶり、ふぅ～と息を吐く。

伊野尾「うん……何か気が抜けた。知念、ありがとう。」