ヒミツ♡ ページ20
山田「っんなこったどうでもいいんだよ！でっ！何っ？何かあったの？」
八乙女「依頼者じゃないなら、これ以上俺からは何も言えないよ。」
薮「山田、これ…」
薮が顎をクイッと動かして、点滴のため布団から出ている伊野尾の白くて細い腕をよく見るよう山田に促す。
山田は促されまま伊野尾の腕を見て思わず後退る。
縄の跡。
青いアザ。
切り傷。
今まで伊野尾は長袖のカーディガンを着ていたし、さっきは夜だし、それどころではないしで気づかなかった。
何をされてらこんな傷だらけになるのだろう。
少なくともさっきの奴らは縄は使っていない。
山田は裕翔の『あまり体に良くないこと』と言った言葉を思い出す。
薮「相当無茶な生活してたんじゃないか？そりゃ倒れて当たり前だな。」
八乙女「………。」
八乙女はフッと目を逸らし、思い詰めた表情に一瞬だけなった。
薮「他にも気になることがあるんだな。」
その一瞬を見逃さず、薮は八乙女に問い掛ける。
八乙女「ヒミツ♡」
八乙女は薮の問に少し困ったように眉をハの字にして笑みを浮かべた。
伊野尾「俺が言うよ…。」
薮、八乙女、山田が一斉に声の主である伊野尾を見る。
伊野尾は点滴がついていない右腕をおでこに当てて、ぼんやりと天井を見つめている。
八乙女「起きた？気分はどう？」
八乙女が伊野尾の顔を覗き込むで優しく問い掛ける。
伊野尾「…………。」
伊野尾は何も答えないが、その代わりにゆっくりと起き上がろうとする。
八乙女は、また困ったよう笑みを浮かべつつ、起き上がろうとする伊野尾の背に手を添えて補助してやる。
伊野尾「うっ………つっ！…ハァ…ハァ…」
少し動いただけでも重労働かのように息が上がっている伊野尾。
山田はそんな伊野尾が痛々しく、直視できず目を逸らす。
伊野尾「山田……だっけ？お前……」
いきなり名前を伊野尾に呼ばれた山田は驚いて伊野尾を見る。
伊野尾はしんどそうに体を丸めているが、目だけはしっかりと山田を見ている。
伊野尾「来いよ。」
山田「はっ？」
伊野尾が何を言ったのが一瞬理解ができず動けない。
伊野尾「だから、こっち来いって。」
伊野尾が少し語気を強めて側に来るよう促す。
山田は生唾を飲むと、意を決して伊野尾にゆっくり近づく。
伊野尾「さっき怪我しただろ？見せて？」
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作者名：サツキ | 作成日時：2023年11月7日 19時
