そりゃ、そうだろうな。 ３ ページ19
………………………………山田はビルの屋上に誰かと居る。
その誰かは夕日照らされ、逆光で顔は伺えない。
山田はビルの屋上の柵の中。
もう一人の誰かは屋上の柵の外。
山田は必死で誰かを柵の中に引き寄せようとするが、手を伸ばせば伸ばすほど遠ざかる。
誰か「ねぇ、涼介。お前だけは生きて…俺の分まで………」
「誰か」は優しく山田に語りかける。
そして…………………
山田「ヤダッ！待って！！ぅあ゛あ゛あぁぁぁっ！！」
ハッ！！
山田「(寝て……た？)」
心臓がバクバクしている。
冷や汗が頬を伝う。
少し手が震えてる。
薮「大丈夫か？」
薮が真っ直ぐ前を見たまま、目線をあえて向けずに静かに聞く。
山田「あっ……うん。」
山田は両手で顔を覆い、深呼吸を繰り返して気持ちを整える。
山田「(久しぶに見たな………あの時の夢……)」
山田の気持ちが落ち着いた、ちょうどその時。
ガチャッも診察室の扉が少し開き、八乙女がひょっこりと顔出す。
八乙女「終わったよ〜。」
薮と山田はゆっくり立ち上がり、診察室に入る。
ベットには点滴に繋がれ眠っている伊野尾の姿があった。
顔はまだ赤いが呼吸は落ち着き、静かな寝息を立てている。
八乙女「まぁ〜ざっくり言うと過労。寝不足、栄養不足。不足、不足、不足だらけ。炎症反応もあるから、免疫落ちて風邪でもひいたかな？」
八乙女は伝票の様な検査結果用紙を見ながら伊野尾の状態を確認する。
八乙女「不健康選手権で優勝できるんじゃない？」
八乙女は冗談も交えてニコッと笑って伝えるが、そんな笑顔で伝える内容ではない。
しかし、そんな八乙女から笑顔が消え、急に真顔になる。
八乙女「ねぇ、山田。今回のヤマ、大丈夫なの？ちゃんと手に追える？」
山田「へっ？なんのこと？」
山田はなんのことか分からず聞き返す。
八乙女「えっ？この子、そっちの依頼者じゃないの？」
山田「……………」
山田はなんと言っていいかな分からず口をつむぐ。
薮「依頼は受けていない。山田が拾ってきた。」
八乙女「マジで？！山田が？！」
八乙女が後退りをし、大げさに驚く。
山田「俺、そんなに普段、人に無関心？」
薮、八乙女「うん」
山田「ハモンなっ！」
八乙女「だってJUMPの仲間以外の奴とまともに喋ってるとこ見たことない。依頼者とだって必要最低限の会話だし。」
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作者名：サツキ | 作成日時：2023年11月7日 19時
