そりゃ、そうだろうな。 2 ページ18
何処で染めているのか個性的な髪の色をしており、八重歯が魅力的な男性だ。
天然なところがあり、本人の意図しないところでまわりを笑顔にしてしまう。
ただ、医者といっても今は医師免許を持っていない。
『何でも屋』の雑居ビルの裏にワゴン車が止まる。
山田はワゴン車の後部座席のドアを開けると、前回と同じ様に伊野尾を横向きに抱き抱える。
伊野尾「ハァ…ハァ…」
伊野尾は山田の胸に頭を預け短い呼吸をしている。
頬も真っ赤に染まり相当しんどそうだ。
薮が運転席から出て山田達に駆け寄り、後部座席のドアを閉める。
山田「何か前より軽い気がする。」
数日前に抱いた伊野尾と抱き心地が違う。
薮「そうか。」
薮達は事務所のある雑居ビルの一階の裏口から入ると、そのまま奥に進む。
そして、一階奥にある部屋の扉をノックする。
薮「ヒカ。俺だ。」
八乙女「はいは〜い。いらっしゃい。」
もう時刻は午前3時を回っている。
白のカッターシャツに白衣を羽織、黒っぽいスラックスをはいた八乙女は明るく優しい笑顔で3人を迎え入れる。
八乙女「じゃ〜その子、こっちのベットに寝かせて。」
八乙女は山田に指示を出し、山田は伊野尾をゆっくりベットに寝かせる。
八乙女「オッケー。じゃ〜先にこの子診たら、山田の怪我診てあげるよ。外で待ってて。」
山田「俺は、大丈夫………」
山田は八乙女から視線を外し、俯きながら答える。
八乙女「いいから、いいから。はいっ!待っててね。」
山田と薮は八乙女に促されて診察室の外に出された。
パタンと閉まる診察室のドア。
狭い廊下の壁に沿うように長椅子が1つ置いてある。
山田は「ふぅ〜っ。」1つ大きく息を吐きながら、壁に背を預け、足を広げてダラリと長椅子に腰掛ける。
その横に薮も長椅子に腰掛け、足を組む。
薮「……………らしくないな。山田。裕翔が心配してた。」
山田「……………」
薮「似てるのか?あいつ。」
山田「……………」
薮「感情を引きずんな。冷静な判断が出来なくなるぞ。」
薮は優しく静かに山田を諭す。
山田「分かってる。分かってるんだけどさ。………ホント、らしくないよね。」
山田は自傷気味に苦笑いを浮かべる。
薮「まっ!でもいいんじゃないか?自分の気持ちに正直になるのもさ。」
山田「ははっ。結局、いいのか悪いのかどっちだよ。」
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作者名:サツキ | 作成日時:2023年11月7日 19時