新しい場所 １ ページ9
その日の真夜中。
獣たちは家の屋根に８人は居る。
各々、屋根に座っていたり、立っていたり。
その真ん中に立っている伊野尾。
伊野尾「じゃ〜始めるよ。」
伊野尾はみんなの顔を見渡す。
みんな返事をしたり、頷いたりして答える。
伊野尾が目をつむり、両手を前にさし出す。
ふわぁっと伊野尾の周りから青い靄がかった光が包み、伊野尾の服や髪を揺らす。
そして伊野尾が前に差し出していた両手を広げる。
青い光が街全体に広がり、降り注ぐ。
この光に触れると獣たちと関わった者達の記憶が改ざんされるのだ。
一緒に撮った写真からは獣たちの姿は消えるし、共に過ごした時間はすり替えられる。
知 念「いつ見ても、綺麗だよね。」
裕翔「うん…」
青い光と風を纏う伊野尾はとても妖艶で神秘的な雰囲気だ。
有岡「綺麗すぎて、怖いよ。」
山田が有岡の顔を見る。
有岡「これ、俺たちの記憶もどうにかできちゃうのかな……」
みんなには聞こえないくらい小さな声で呟いた。
山田「大ちゃん？」
フッと伊野尾の目が開き、一旦青い光が収まる。
高木「終わった？」
伊野尾「うん…」
伊野尾は振り返ることなく静かに答えた。
伊野尾「じゃ〜次はお引っ越しだね。」
やはり振り返ることは無いが、でも次は顔を上げて声を少し張る。
高木「次は海の近くだね。」
八乙女「雄也、海好きだもんね。」
伊野尾「行くよ！」
伊野尾は元気に言うと片膝をついて座り、両手を屋根に押し当てる。
そして、両手に力を込めていく。
再び伊野尾の両手から青い光の靄が発生する。
伊野尾は下からの風に煽られる。
伊野尾「んっ…」
力をより込めると家の周りの空間が一瞬歪む。
そして気がつくと景色が一変するのだ。
木々に囲まれた広い庭。
少し先に暗闇が広がっているが、耳を澄ますとザザーッと波の音が聞こえる。
伊野尾「はぁ〜………はぁ〜………」
伊野尾は両手をついて四つん這いになりながら息を切らしている。
屋根にポタッポタッと汗が滴り落ちる。
藪「伊野尾。」
藪が伊野尾に近寄り肩を抱く。
藪「大丈夫か？」
伊野尾はコクン、コクンと何度か頷くがしんどそうだ。
いつもはもっと楽しい雰囲気で行われるお引っ越し。
新しい場所にウキウキすることもあるのだが、今回は少し違う。
新しい場所への期待より、前の街への名残惜しさが大きい。
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yamahituji405(プロフ) - 私さん、コメントありがとうございます！こんな内容ですが、作者はけっこう真剣に頑張って書いています💦なので、本当に嬉しいです。 (9月10日 12時) (
レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
私(プロフ) - すごく楽しみに読んでいるので書いてくださると嬉しいです、、 (9月10日 9時) (レス) @page25 id: 5567290ecb (このIDを非表示/違反報告)
yamahituji405(プロフ) - なななさん、コメント、本当にありがとうございます！まさかまさかの事態に手が止まり悩んでいました。励みになりますm(_ _)m (9月10日 8時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - 私は可能なら続きが読みたいです。ここじゃなくても良いので... (9月10日 2時) (レス) id: ecedb3883c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サツキ | 作成日時：2023年8月23日 14時
