楽しかったよ １ ページ5
伊野尾「やだっ！やめてっ！」
健司の手を振りほどこうとして体をよじらせたが、その弾みを利用されて伊野尾は正面に向かされる。
伊野尾の両肩を掴み、少し体をかがめて伊野尾の顔を見つめる健司。
伊野尾と健司の目と目がしっかりと合う。
健司「泣いてたのか？」
伊野尾「っつ！」
伊野尾は言葉につまり、涙でいっぱいの目を健司からそらす。
健司「何かあったのか？」
伊野尾は大きく息を吸込み気持ちを整える。
伊野尾「なんでもないよ。ちょっと本読んで感動しただけ。」
目をそらしたままだが、できるだけ明るく何事もなかったかのように普通に話そうとする。
健司「お前は虫の生態を読んで感動するのか？」
伊野尾「うっ…」
伊野尾の顔が固まる。
そうだった。
最後に片付けていたのは虫の本だった。
伊野尾「そっそうだよ。いや〜虫も頑張って生きてるんなぁ〜って思っ…………っんっ…」
突然、伊野尾の唇は健司の唇によって塞がれ、言葉を途切れさせる。
健司は伊野尾の頬を掴み、伊野尾を抱き寄せると唇を激しく重ねた。
そして、再び健司は真っ直ぐに伊野尾の目を見据える。
健司「俺には嘘をつくな。」
健司の目から逃れることができない。
伊野尾は頑張って耐えていた涙をこらえることができなくなり、大粒の涙をポロポロと流す。
伊野尾「しょうがないんだよ。もう、決めたことだから。」
健司「何を決めたんだ？お前が獣だってことに関係してるのか？だったら俺はお前がなんだろうと関係ない。慧は慧だ。」
伊野尾は目を見開く。
伊野尾「信じてたの？」
出会って間もない頃に交わした会話。
この人なら、本当の自分を晒してもいいと思った。
拒絶されたら怖かっけど、嘘を付きたくなかった。
だから言った「獣」という正体。
その後に何も聞いてくることがなかったから、信じてくれたのか、ふざけたと思われたのか、ずっと不安だった。
健司「お前は俺に嘘はつかない。」
伊野尾の視界が再び涙で歪む。
初めてだった。
ここから去りたくない。
そう思ったのは…………
伊野尾「けんちゃん。…………………抱いて。」
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yamahituji405(プロフ) - 私さん、コメントありがとうございます！こんな内容ですが、作者はけっこう真剣に頑張って書いています💦なので、本当に嬉しいです。 (9月10日 12時) (
レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
私(プロフ) - すごく楽しみに読んでいるので書いてくださると嬉しいです、、 (9月10日 9時) (レス) @page25 id: 5567290ecb (このIDを非表示/違反報告)
yamahituji405(プロフ) - なななさん、コメント、本当にありがとうございます！まさかまさかの事態に手が止まり悩んでいました。励みになりますm(_ _)m (9月10日 8時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - 私は可能なら続きが読みたいです。ここじゃなくても良いので... (9月10日 2時) (レス) id: ecedb3883c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サツキ | 作成日時：2023年8月23日 14時
