嘘だと言って １ ページ31
長老はすうっと伊野尾の頬に添えていた右手を、伊野尾の首へ胸元へとゆっくりすべらせる。
長老「怖がることはない。お前がいい子していれば何も怖いことはしないよ。」
伊野尾「やっ…やっぱり……あの時の声は………」
アクトに襲われた時に止めに入った声…
意識が朦朧としていたし、一瞬だったから確信を持てなかった。
長老「アクトは従順でいい子なんだがな。話しを最後まで聞かず見切り発車なのがいかんな。」
長老の手が伊野尾の胸元のボタンにかかる。
伊野尾「やっやめてっ…」
伊野尾は長老の手を払いのけ、胸元の服をぐっと掴む。
長老はふっと顔を伏せて小さく笑う。
次の瞬間長老の右の掌が伊野尾の胸元に向けられたと同時に強い衝撃が走る。
リビングでは、獣たちが久しぶりの長老の家に話しが弾んでいた。
有岡が「あっ！あとでさ」と言いかけた時だった。
バキッ！バキッ！ドカッーンッ！！
奥の部屋とを隔てる木の壁が爆破音と共に突き破られ、何がゴロゴロとリビングに雪崩込む。
獣たちは驚いて壁を見る。
視界が霞むほどの煙が立ち込め、パキッパキッと木が割れる音がする。
獣たちが何事かと目を凝らす。
山田「うっ………うそだろ………？」
煙が少し消えたころ、リビングに雪崩込んだ何かの輪郭が浮かびあがった。
薮「伊野尾っ！」
薮と八乙女は伊野尾のもとに駆け寄る。
他の獣たちは大きく破壊された壁を前に構える。
高木「何が起きてんの？」
裕翔「わかんないけど………長老は？」
薮「伊野尾っ！」
薮は伊野尾を抱きかかえる。
伊野尾はぐったりして意識がない。
胸元に攻撃を受けたのだろう。
胸元の服が大きく裂け、伊野尾の白くきめ細かい肌が赤黒くただれている。
薮「大丈夫だ！今治す。」
薮は伊野尾の傷に手をかざし力を込める。
八乙女「素敵な力だね。」
薮「もっと早く開花すればよかったな。」
伊野尾の傷は綺麗に治ったが、伊野尾の意識は戻らない。
パキッバキッと木を踏みつける音が近づいて来る。
獣たちの顔に緊張が走る。
ゆっくりと破壊された壁から姿を表したのは長老だった。
だが、その姿は獣たちがよく知っている優しい笑顔の長老ではなかった。
見たこともないほどの冷たい反転した目。
年老いた老人だった姿ではなく、人間の年齢で言えば５０代ぐらいの姿になっている。
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yamahituji405(プロフ) - 私さん、コメントありがとうございます！こんな内容ですが、作者はけっこう真剣に頑張って書いています💦なので、本当に嬉しいです。 (9月10日 12時) (
レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
私(プロフ) - すごく楽しみに読んでいるので書いてくださると嬉しいです、、 (9月10日 9時) (レス) @page25 id: 5567290ecb (このIDを非表示/違反報告)
yamahituji405(プロフ) - なななさん、コメント、本当にありがとうございます！まさかまさかの事態に手が止まり悩んでいました。励みになりますm(_ _)m (9月10日 8時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - 私は可能なら続きが読みたいです。ここじゃなくても良いので... (9月10日 2時) (レス) id: ecedb3883c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サツキ | 作成日時：2023年8月23日 14時
