覚悟 ２ ページ29
伊野尾はゆっくりと７人の方へ向き直る。
伊野尾「もしかしたら、みんなを傷つけるかもしれないし、聞きたくないことを………知りたくないことを言うかもしれない。」
伊野尾の顔が泣きそうに歪み、太もも近くにある両手はぐっと拳を握りしめている。
山田「大丈夫。伊野ちゃん。一緒に行こう。」
山田は伊野尾に歩み寄り、ぎゅっと握られた伊野尾の拳を優しく手に取ると胸元ぐらいまで持ち上げて、ゆっくりとほどいてやる。
伊野尾は涙目を細めながら、こくりと頷いた。
薮「行くか。」
８人が長老の家に向かって歩き出した。
コンコンコン。
山田「じっちゃん？居る？」
山田が少し控えめに家の扉を開く。
１００年ぶりぐらいの長老の家。
懐かしいにおい。
長老「おぉ〜！！お前たち！」
懐かしい声が家の奥から響き、長老が１００年前と何ら変わらない姿で現れた。
長老「どうした？急じゃないか。」
長老は目を細め、愛おしそうに獣たちを見つめる。
長老「有岡。大きくなって……ないな〜。」
有岡「なってないんかい！」
長老「むしろ縮んだ。」
長老「高木と薮は反抗期か？なんだ、その髪の色は。」
高木「ちげーよ。」
長老「わかってるわい。」
長老の家に和やかな空気が流れる。
長老「しかし、本当に急だな。連絡の１つでもよこせばいいものを。」
伊野尾「じっちゃんごめん。俺、聞きたいことあって……」
長老「伊野尾…。元気にしていたか？少し痩せたか？また無理してないだろうな？」
長老の優しい言葉に伊野尾はまた泣きそうな顔をする。
知 念「伊野ちゃん、すぐに無理するんだよ！強がるし！」
長老「そうか。お前は昔っから変わらないな。」
長老は伊野尾に歩み寄り頭を撫でた。
長老「さっ。立ち話もなんだ。座れ。話しを聞こう。」
長老が獣たちを座るよう促した後、ポンッと手をたたき、
長老「そうそう。この森の近くにスーパーができてな。そこでココアを買ったんだ。飲むか？」
山田が「手伝うよ」と言いかける前に
伊野尾「あっ！手伝うよ。」
珍しく伊野尾が真っ先に手を上げた。
長老「珍しいな。伊野尾が手伝うのか？」
ハッハッハと長老は笑う。
長老「じゃ〜頼もう。」
２人は部屋の奥へと言った。
山田は伊野尾の珍しい行動に一瞬呆気にとられて動けず、２人を見送るしかなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yamahituji405(プロフ) - 私さん、コメントありがとうございます！こんな内容ですが、作者はけっこう真剣に頑張って書いています💦なので、本当に嬉しいです。 (9月10日 12時) (
レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
私(プロフ) - すごく楽しみに読んでいるので書いてくださると嬉しいです、、 (9月10日 9時) (レス) @page25 id: 5567290ecb (このIDを非表示/違反報告)
yamahituji405(プロフ) - なななさん、コメント、本当にありがとうございます！まさかまさかの事態に手が止まり悩んでいました。励みになりますm(_ _)m (9月10日 8時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - 私は可能なら続きが読みたいです。ここじゃなくても良いので... (9月10日 2時) (レス) id: ecedb3883c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サツキ | 作成日時：2023年8月23日 14時
