会いに行く １ ページ21
伊野尾「(余裕ないとか、知ったこっちゃねぇよ……)」
両手を首元に当てながら体を丸めて横たわり、なかなか整わない呼吸の中、心の中で悪態をつく。
そしてキッと垂れ下がる前髪の間からアクトを睨みつけるが、それもつかの間どんどん意識が遠のいていく。
アクト「今度は、ちゃんと持ってきてくださいね。」
伊野尾の意識が途切れる瞬間、アクトが耳元で囁いた。
伊野尾「ぐっ…………………うっ……」
伊野尾が顔をしかめた後、ゆっくり瞼が開く。
山田「伊野ちゃん！はぁ〜、伊野ちゃん……」
伊野尾は山田に床の上で抱き抱えられている状態だった。
伊野尾「山田……みんな………」
目を覚ました伊野尾の目の前に、心配そうに眉毛をひそめる獣たちの姿がうつる。
知 念「伊野ちゃ〜ん！良かった〜……全然目覚まさないんだも〜ん………」
知 念が山田の反対側から泣きながら抱きついてきた。
伊野尾「わぁっ！」
知 念の勢いに若干後ろにバランスを崩し左手を床について支える。
その時、伊野尾は一瞬、肩の痛みで顔を歪めたが、すぐに優しい笑みを作り右手で抱きつく知 念の頭を撫でる。
山田はその一瞬の表情を見逃さなかった。
山田「伊野ちゃん、何があった？何かされたの？」
思わず聞いてしまった山田は平静を取り繕うとしているが、その顔には心配が滲み出ている。
伊野尾「何もされてないよ。何か頭の中で話しをしただけ。」
優しく穏やかな声で答える伊野尾。
山田・知 念「(嘘つき……)」
伊野尾に触れている山田と知 念は伊野尾の体や床についた左手が小刻みに震えているのを感じる。
伊野尾の顔や声は穏やかだが、体は正直に恐怖を感じていたことを物語っている。
でも、それをこれ以上問いただしたところで伊野尾は答えないことも分かっている。
山田「…………………」
山田と知 念は何も言えず、やりきれない思いで伊野尾をぎゅっと抱きしめるしかできなかった。
藪「伊野尾、誰と話してたんだ？」
藪が静かに問う。
伊野尾「人魚だよ。名前はアクトって言ってた。んで、『ローズストーン』っていうのを探してるみたい。」
裕翔「『ローズストーン』………『薔薇の石？』」
伊野尾「なのかな……んで、その『ローズストーン』をなぜか俺が持ってるって思い込んでるみたいなんなよね。」
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yamahituji405(プロフ) - 私さん、コメントありがとうございます！こんな内容ですが、作者はけっこう真剣に頑張って書いています💦なので、本当に嬉しいです。 (9月10日 12時) (
レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
私(プロフ) - すごく楽しみに読んでいるので書いてくださると嬉しいです、、 (9月10日 9時) (レス) @page25 id: 5567290ecb (このIDを非表示/違反報告)
yamahituji405(プロフ) - なななさん、コメント、本当にありがとうございます！まさかまさかの事態に手が止まり悩んでいました。励みになりますm(_ _)m (9月10日 8時) (レス) id: 35bce03242 (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - 私は可能なら続きが読みたいです。ここじゃなくても良いので... (9月10日 2時) (レス) id: ecedb3883c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サツキ | 作成日時：2023年8月23日 14時
