35. 月明りの広場 ページ36
忠臣「Aは、物書きだったらしいな」
『っ、はい。
僕なんかが物書きって名乗っていいのかわかりませんが…』
忠臣「どれくらい書いていたんだ？」
『どうでしょう…小さい時から空想のお話し、というか世界を作って、よく自分を主人公にして遊んでましたから…。
しっかりと紙に書き始めたのは、たぶん10歳とかそれ以上だったと思います』
忠臣「ほう、どんなものを書いていた？」
『………どうして、ですか？』
忠臣「どういうことだ？」
『どうして忠臣さんは、そんなに僕のことを聞くんですか…？』
彼の真っすぐで鋭い、萌黄色の瞳が僕を捕らえる。
怖い。
けれど、彼から目をそらすことができない。
忠臣「…ふっ、そう怯えた目をするな。
ただの興味だ」
『そう、でしたか…』
忠臣「しかし、そんなに人に言えないようなものを書いていたのか？」
『いえ、そういうわけじゃないんですが…』
忠臣「なら」
…これは、勝てない。
そう感じた僕は、少しだけ、忠臣さんに話すことを決めた。
『いろいろ、思いつくままに書いてたので全部は覚えられてませんが、二次創作の物語が多かったです』
忠臣「にじそうさく？」
『はい。
ゲームとかのキャラクターの名前を借りたりしてつくる、非公式の創作物です。
たしか、一次創作はすべてがオリジナルのものだったはずです』
忠臣「ほう…Aは一次創作、とやらは作らなかったのか？」
『一応、作ったりはしましたが、いつも完結しないんです。
家族とか、自分以外の人に話すと、もうその物語を書くことはほとんどできなくなってしまって…。
まぁ、もう書かないと決めたんで、今は関係ないんですがね』
忠臣「…そうか」
お互いから言葉が消える。
耳に入ってくるのは風に吹かれてさらさらと、葉が揺れる音だけだった。
忠臣「…さて、我は部屋に戻る。
Aもあまり冷えぬうちに戻れ」
『そうします。
…おやすみなさい』
忠臣「あぁ」
彼の足音が遠ざかっていく。
それと同時に、僕の体はゆっくりと重たくなり…そこから先は、覚えていない。
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鈴堂図書ガール(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてすごく嬉しいです…！頑張ります！ (2018年5月16日 21時) (
レス) id: 8d04432956 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - こういう作品を探してた…続きが楽しみです！応援してます頑張ってください！ (2018年5月13日 8時) (レス) id: bf6a3b092e (このIDを非表示/違反報告)
鈴堂図書ガール(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます。すぐに外します…！ (2018年2月5日 14時) (レス) id: d1d9076716 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグ外して下さい (2018年2月5日 6時) (レス) id: 73b31c3ed1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴堂図書ガール | 作成日時：2018年2月4日 22時
