17. 冷たくない氷 ページ17
『やっぱり、今日は床と仲良しになる日か…』
別に、そんな辛くないよ…？
高校に通ってるときの宿泊学習の夜はベッドで寝るなんて、2年生になってからできてないからね？
うん、大丈夫大丈夫。
ちょっと心にくるけど、あの時みたいに悪意があるわけじゃないから。
辛くない、辛くない…。
そうざわつく心に言い聞かせが、なかなかざわつきは収まらない。
アダ「A？」
『っはい！』
ハッと我に返ってアダムさんの顔を見ると、彼は心配そうにこちらを見ていた。
アダ「あの…おれの部屋でよければ、泊っていってください」
『えっ、いやでも…？』
アダ「そんなに悲しそうな顔されたら、泊めないわけがないじゃないですか。
ついてきてください」
そう苦笑して歩き出すアダムさん。
僕は慌ててそのあとをついていった。
.
.
.
アダムさんがドアノブに銀色のカードをかざすと、ピーっという少し高い機械音とロックが外れるような音が聞こえた。
アダ「どうぞ、上がってください。
あ、靴はそこのボックスに」
『お邪魔します…！』
中に入ると左にはシューズボックスと2つのドア。
その先にはモノトーン調にまとめられた、大人っぽい部屋が広がっていた。
アダ「トイレはこの右のドアです。
左は洗面所とシャワールーム…使いますか？」
『そんな、部屋に泊めていただけるだけで充分ありがたいのに…』
アダ「遠慮しないでください」
『……では、お言葉に甘えて』
.
.
.
ザァザァと流れ落ちてくる湯が僕の体を濡らす。
その温かさに僕は、ほぅと息をついた。
色々なことがありすぎて、まだちょっと信じられない。
こんな幸せなことが僕なんかにあっていいものなんだろうか。
明日になったら全部夢でした、みたいなことはないだろうかと不安になる。
アダ「タオル、洗面台の上に置いておきますね」
『はい』
ドア越しのくぐもった彼の声に返事をした後、キュッとシャワーを止めて髪の毛の水気を絞る。
流れるお湯が、不安を全部流してくれたらいいのにな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴堂図書ガール(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてすごく嬉しいです…！頑張ります！ (2018年5月16日 21時) (
レス) id: 8d04432956 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - こういう作品を探してた…続きが楽しみです！応援してます頑張ってください！ (2018年5月13日 8時) (レス) id: bf6a3b092e (このIDを非表示/違反報告)
鈴堂図書ガール(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます。すぐに外します…！ (2018年2月5日 14時) (レス) id: d1d9076716 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグ外して下さい (2018年2月5日 6時) (レス) id: 73b31c3ed1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴堂図書ガール | 作成日時：2018年2月4日 22時
