女王蜂に蜂蜜【山口忠】

9.飴と鞭 ページ9

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「つ、月島くん！あのコレ…」


谷地さんがツッキーに手紙を渡す。


(ええっ！？谷地さんもしかしてツッキーのこと！？)


「クラスの女の子から、月島くんに渡してって預かったの」


(な、なんだ。ビックリした)


「悪いけど…返しておいてくれない」


ツッキーは相変わらずだ。
女の子から好かれても、いつもこんな感じ。
そんなクールなとこも…カッコイイけど！！！


「山口なにニヤニヤしてんの？怖いよ」

「あ、ごめんツッキー！」


けれど谷地さんは青くなって困っている。
そりゃそうか、頼んできた女の子に返しづらいよね…。


「谷地さんかわいそうだし、受け取るだけ受け取ってあげれば？」


俺が助け舟を出すと、谷地さんはほっとした顔になる。


「そういうのがイヤなんだよね」


ツッキーは顔をしかめた。


「自分で渡す勇気もないのに、他人の手を煩わせるような子には興味が持てない」


谷地さんは目を丸くした。


「そうだよね…やっぱりAちゃんの言うとおりだ」

「女王様が、ナニ？」


ツッキーは更に機嫌が悪くなる。


「最初はAちゃんが頼まれてたんだけど、
自分で渡さないと気持ち伝わらないって…
他人に任せてばっかりじゃ、うまくいかないって渡すの断ってたの」


「はっ、それ単に女王様は僕に関わりたくなかっただけデショ」


ツッキーは笑った。


「でも女王様の言うとおりだね」


ツッキーは珍しく、Aの話題で笑顔だった。


「だから悪いけど僕も受け取らないから。山口、行くよ」


ツッキーの言うことも、Aの言うことも、正しい…とは思う。
でも…2人はそれでいいかもしれないけど…俺や谷地さんは
そんなハッキリ、言えないよ。

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