女王蜂に蜂蜜【山口忠】

29.目覚めの接吻 ページ29

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俺は、彼女のことを強い女の子だと思っていた。
でも、やっぱり普通の女の子なんだ。
俺が傍に居ないと…ダメなんだ。


「わかってあげられなくて、ゴメン…」


Aの全部を見てあげられてなかった。


「謝るのは…私なんだよ…強がってばっかりで
忠に本当の気持ち言えずにいたから…」


俺も、本当の気持ちを言わなきゃ。


「あのね…俺、自分に自信がなかったんだ。
Aはなんでも出来て、美人で、人気者で…
一緒に居ると、自分が情けなくて…格好悪くて…
だから試合で活躍して、自分に自信が持てるまで距離を置こうと思ってた。
Aの彼氏だって、堂々と胸張って歩けるようになりたかったんだ」


けど、こんな風に泣かせてしまった。


「でも一番情けないのは、Aに寂しい思いさせちゃったことだよね…ごめんね」


Aは泣きながら首を振る。


「忠は、世界一かっこいいんだから自信持って」


つまらないプライドより大事にしなくちゃいけないもの…
それはAの気持ち。



「ありがとう…」

「ねぇ、忠は？」

「え？」

「私のこと…好き？」


涙が伝った後の顔でも
綺麗すぎて、ため息が出る。


「そっ…そんなの、決まってるだろっ」


誰よりも美人で可愛い。
こんな情けない俺を変わらず好きでいてくれる。


「俺はAが、大好きだよっ…」


そう言って、Aにキスをした。

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