そんな酷な事は、言わないからさ。１［及川,岩泉］ ページ7
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｢で？
結局Aは及川と岩泉、どっちと付き合ってんの？｣
そんな友人の言葉に、はぁとため息を漏らす。
この女、何度言っても全然聞かないな。
｢だからー、2人はそーゆーのじゃないんだって。
何回言ったらわかるの？｣
私がそう言えば、いやいやー、と目の前に座る友人は手を横に振る。
なんで貴方が否定するんですか。
｢Aちゃーんっ｣
そんな時、急に聞こえてきた甘ったるい私の名前を呼ぶ声。
その声に目を向ければ、いつもの様に教室の扉の所で手を振る徹と、柱に寄りかかっているはじめの姿が見えた。
この光景も、最早日常茶飯事。
彼等は、所謂私の幼馴染だ。
｢はいはーいっ｣
そう返事をして、席を立つ。鞄から財布を取り出して、いつもの様に彼等の方へ駆け寄った。
因みに友人からは最後の最後まで質問攻めにあってたけど、もう適当に流しておいた。
面倒臭いから。
｢お迎えありがとー｣
そう微笑めば、彼等も嬉しそうに私に笑い返してくれる。
｢いえいえー。さ、食堂行こ〜｣
｢おう。Aは今日、何食うんだ？｣
｢んー…、トンカツ定食かな｣
食堂に向かいながらそう応えれば、2人から｢じゃあ俺もそれにしようかな｣と返ってきた。
いっつも、私の食べるものに引かれ過ぎだろーと思うものの。彼等と同じ物を食べるのは、幸せだから別に嫌じゃない。
▪
食堂まで来れば、同じ男バレ部員の松川くん、花巻くんと出くわした。どうやら彼等も、2人で食堂に来たらしい。
｢お前らほんと仲良いなー｣
と、松川くんに笑われたけど。
それ、君達2人にも言えることだよね。
__ とは言え、彼等にそう笑われるのも仕方が無い。
私たち3人は、いっつも一緒に居る。
クラスは4組、5組、6組と別々だけれど。登下校、昼休み、そして放課後の部活の時間もずっっっと一緒。
部活中は、彼等が選手で私がマネージャーだからそばに居るってことはあんまり出来ないけれど。
それでも休憩中は、出来るだけ隣に居てくれる。
小学生の時からずっと一緒に居た彼らは、何時しか居なくてはならない存在になっていて。
正直、徹とはじめ、2人が居ない生活なんて考えられない。
でも、さっき友達にも言ったように私が2人に恋心を抱いているわけじゃない。
だから、2人に好きな人が出来たら応援はしてあげるつもりだ。
一緒に居る時間が減るのは、少し寂しいけれど。
…これからもずっと一緒なんて、到底無理な話だと思うから。
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作者名：ヒマリ | 作成日時：2020年5月10日 23時
