［92］濡れてる方が、__ 東峰side ページ47
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▽ 東峰side ▽
校舎の入口で、たまたま同じ部活の後輩、水宮が居た。
水宮は傘を持ってきていないようだったので、良ければ、と思って入っていくかと聞いた。正直、部活に戻ってきてからは真面に会話した事が無かったので断られるかも、と思っていたのだけれど。
そんな心配とは裏腹に、彼は直ぐに俺の提案を受け入れていた。
そして、今。
俺は部活内でも1年の中でも人気NO.1と言われている水宮と、相合傘をしてしまっている。
｢何ですか？｣
こてんっと、近距離で顔を傾げる水宮には流石に胸が高鳴らずにはいられない。こんな顔が綺麗なのだから、仕方ないだろう、と自分に言い聞かせる。
東峰｢…いや、ちゃんと水宮にお礼言ってなかったな、と思って｣
｢あぁ。全然良いですよ｣
彼は俺の言葉に、そう返して微笑んだ。
俺が、部活に戻って来れたのは。西谷や、大地、スガ、そして影山や日向が居てくれたからだ。アイツらの言葉で、俺は部活に戻って来る決心がついた。
でも水宮は、俺の一歩目を引き出してくれた唯一の子だ。
きっと、彼があの時俺を『待ってる』と言ってくれなければ、俺は日向達の言葉にも耳を貸さず。部活を覗きにも行かなかっただろう。
俺を、暗闇から最初に引っ張ってくれたのは水宮だった。
東峰｢…ありがとな。水宮のお陰で、俺は部活に戻って来れた｣
そう言うと、水宮はびっくりした様に目を見開いていた。
｢そんなっ、僕は特に何も｣
東峰｢そんな事ないよ。勿論、日向や西谷達のお陰でもあるけれど。
水宮の言葉に、俺は最初に心を動かされたんだから｣
思わず俺は立ち止まってそう言っていた。
少しの間ポカーンとした後、彼は少し頬を赤くしてまた微笑んだ。
｢…ありがとうございます。そう言って貰えて嬉しいです｣
不覚にも、彼のその笑顔は誰よりも可愛いと思った。
それは勿論、同学年の女子達よりも。本当に誰よりも。
｢僕、ちょっと余計な事しちゃったかなぁ、なんて思ってましたから｣
東峰｢そっ、そんな事ないけど。
いやでも、うん。俺が少し、ヘタレ過ぎただけだから｣
｢ふふっ、そんな事ないです。バレーしてる時の旭さんは、凄くかっこいいです｣
そんな事を急に言われてしまったので、今度は多分俺の顔が赤くなった事だろう。
ほんと、スガや大地が気に入ってるって言うのも分かる気がする。
東峰｢あっ、ありがとう…｣
そう答えた俺の左肩は、雨で少し濡れていた。
(続く)
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おののいもこす - 92の濡れてる方が＿って、京都銀行の相合い傘 濡れてる方が 惚れている ですよね！あの句いいですよね！ (2020年4月27日 10時) (
レス) id: b426f69678 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 面白すぎます！更新楽しみにしてます！更新頑張ってください！ (2020年4月25日 20時) (レス) id: 0a80c4d22b (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 今後どうなるのかほんとに楽しみです！続き楽しみにしていますね！更新頑張って下さい。 (2020年4月9日 11時) (レス) id: a320407a1b (このIDを非表示/違反報告)
樹 - 続編来ました！この作品が大好きです。正直早く続きが読みたくてうずうずしています。主人公がこれからどう進化したり人間模様がどうなるのかも楽しみにしています。 (2020年4月9日 11時) (レス) id: 8e6b7bcff3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒマリ | 作成日時：2020年4月9日 11時
