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▽ 主side ▽
手を繋いで電車に乗り込めば、西谷さんはパチクリと何度か驚いた様に瞬きをしていた。
｢あっ、すみません、引っ張っちゃって｣
と、強引に掴んだ手を放せば。
西谷さんは｢いや、全然大丈夫｣と何故か小さな声で、僕から目を逸らしながらそう返された。
取り敢えず立っているのもなんなので、と。空いている横長の席に並んで腰を下ろす。帰りの方向とは逆の生徒が多いのか、烏野の生徒はあんまり乗り込んでこなかった。まあ、邪魔される確率が減るし好都合だな。
最近は知らない生徒からやたらと話し掛けられる事が多いから。
西谷｢そういや、これから何処に向かうんだ？｣
｢言ってませんでしたっけ。伊達工ですよ｣
と、彼の言葉に答えれば。
西谷さんは大きく目を見開いて、ぐわっと僕の肩を掴んだ。
西谷｢おまっ！若しかして旭さんの事知って、なっ、殴り込みか！？
流石に暴力はダメだと思うぞ！？｣
｢えっ、ちょっ、何の事ですか｣
両肩をグワングワン揺らされ意味の分からない事を言われたので、僕は取り敢えず必死に否定する。
てか、電車内で大声出しちゃダメですって。人が少ないからって。
｢あのっ、僕知り合いに借りてた物返しに行くだけなんでっ｣
と、言うと彼の手の動きは止まって。
ばっと、肩から手は放された。
西谷｢…えっ、あ、そうか。悪ぃ、勘違いした｣
｢いえ、大丈夫です。
と、言うか、お話って多分旭さんの事ですよね？｣
下を向いた西谷さんを覗き込んでそう問えば、何でわかった、とでも言いたげな顔で僕を再び見つめた。
そりゃあ、あんな事部活中にあったら誰だってそう思いますよ。
｢…お聞きしますよ？｣
西谷｢あぁ｣
＊
｢なるほど…｣
お話を聞く限り、大分重い内容だった。
『エースとして壁をぶち破れなかった。自分のせいで、試合に負けた。だから責任を感じて、部活にも来なくなった。』
纏めるとこんな感じ。
そんな話をこんな入りたての1年部員に話して良かったのだろうか、と思うのだけれど。まあ、僕がなんでも聞くって言ったんだから話してくれたんだろうし。
西谷｢俺は、旭さんに戻ってきて欲しいんだ｣
｢…知ってます｣
じゃないと、旭さんが戻って来るまで部活に参加しない、なんて言える筈ない。
｢なんか、気持ち分かる気がします｣
西谷｢？…旭さんのか？｣
｢あ、いえ。西谷さんのです｣
そう言って微笑めば、彼は頭にクエスチョンマークを浮かべたのだった。
(続く)
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おののいもこす - 92の濡れてる方が＿って、京都銀行の相合い傘 濡れてる方が 惚れている ですよね！あの句いいですよね！ (2020年4月27日 10時) (
レス) id: b426f69678 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 面白すぎます！更新楽しみにしてます！更新頑張ってください！ (2020年4月25日 20時) (レス) id: 0a80c4d22b (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 今後どうなるのかほんとに楽しみです！続き楽しみにしていますね！更新頑張って下さい。 (2020年4月9日 11時) (レス) id: a320407a1b (このIDを非表示/違反報告)
樹 - 続編来ました！この作品が大好きです。正直早く続きが読みたくてうずうずしています。主人公がこれからどう進化したり人間模様がどうなるのかも楽しみにしています。 (2020年4月9日 11時) (レス) id: 8e6b7bcff3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒマリ | 作成日時：2020年4月9日 11時
