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▽ 主side ▽


それから、部室で暫く休ませて貰って大分体調も良くなったので。僕は家に帰る事になった。
因みに、先程の注射の件で二口さんには結構怒られました。それだけの理由で命落としたりとかどうすんだって、言われたので多分彼も心配してくれての言葉なのだと思う。

「本当にありがとうございました」

部室を皆で出た後、僕は3人に頭を下げた。

茂庭「いーよ。体調も回復して良かった」

二口「…気を付けろよ。今度また何かあったら直ぐ連絡しろ」

青根「ん!」


青根さんは多分、「俺にも連絡していい!」って言ったと思う。

因みに、連絡先は部室で交換させて頂いた。
最初に言い出したのは茂庭さんで、二口さんも青根さんも、という事だったので皆と交換した。


二口「…てか、本当に家まで送んなくていいのか?」

「はい。ここまでして頂いので、充分です」

何にも持っていなかった僕の手には、茂庭さんの水筒を持たされて、首には濡らした二口さんのタオル、肩には青根さんのジャージが掛けられている。
めちゃくちゃジャージには『伊達工業』って書かれてるし、傍から見たら僕伊達工の生徒と思われるんだろうな。


「今度、返しに行きます。
本当にありがとうございました」

僕は彼らに再びぺこりと頭を下げて、3人が僕に背を向けて遠ざかって行くのを見送った。
3人とも、最後まで心配そう顔をしてくれていて、やっぱりいい人達だなと改めて思った。

…素敵な人達だった。
温かかった。

まるで、冷えきった心を温められたような、そんな気分だった。

「…よし、帰るか」

自分もくるりと方向転換して、自分の家の方に足を向けた。
青根さんのジャージ、ぶかぶかだなぁ。

なんて、思っていれば。

「!?」

突然左腕を掴まれた。
びっくりして後ろを振り向けば、そこにはさっき帰った筈の茂庭さんが立っていて。

茂庭「…ホントに、大丈夫?」

彼の綺麗な瞳は、心配そうな目付きで僕のことを捉えていた。


「…大丈夫、ですよ」

と、作り笑いで誤魔化したものの。
彼はきっと気付いているのだろう、僕が本当の事を言っていないことを。

茂庭「っ、無理して走って体壊す奴が、大丈夫なわけないっ…」

茂庭さんは、悔しそうにそう言葉を漏らした。
その声は酷く僕の心に突き刺さって、でもやっぱり温かいと思った。

茂庭「…やっぱり、家まで送るよ」

この人のこの言葉をもう一度断れる程、僕は強くは無かった。

「…お願いします」


(続く)

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おののいもこす - 92の濡れてる方が_って、京都銀行の相合い傘 濡れてる方が 惚れている ですよね!あの句いいですよね! (2020年4月27日 10時) (レス) id: b426f69678 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 面白すぎます!更新楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2020年4月25日 20時) (レス) id: 0a80c4d22b (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 今後どうなるのかほんとに楽しみです!続き楽しみにしていますね!更新頑張って下さい。 (2020年4月9日 11時) (レス) id: a320407a1b (このIDを非表示/違反報告)
- 続編来ました!この作品が大好きです。正直早く続きが読みたくてうずうずしています。主人公がこれからどう進化したり人間模様がどうなるのかも楽しみにしています。 (2020年4月9日 11時) (レス) id: 8e6b7bcff3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒマリ | 作成日時:2020年4月9日 11時

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