【ハイ.キュ.ー!!】烏にお気に召された王子様【愛され】

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▽ 主side ▽

あれから１時間。

田中｢ラッシャアアアイ！！｣

菅原さんも途中で練習に参加してくれて、今は田中さんと飛雄がトス＆スパイク練習。菅原さんと僕が、翔陽のパス練に交代で付き合っていた。

然し、翔陽はこっちよりも飛雄達の方が気になるようで。

僕のアンダーで上げたボールは、余所見している彼の頭に直撃した。

｢ちょっと、翔陽っ｣
菅原｢日向よそ見すんなっ｣

翔陽は僕らの声を気にもせず。
飛雄の方へと身体を向けた。

日向｢俺もスパイク打ちたい！俺にトス上げてくれよ！

お前トス大好きなんだろ！？じゃあ俺にも上げてくれよ！｣

影山｢……嫌だ｣


…言うと思った。
あの不貞腐れたような顔、絶対受け入れないもん。

影山｢レシーブあってのトスと攻撃だ。
それがグズグズの癖に偉そうに言うな。

土曜の3対3でもトスは極力田中さんに集める。
攻撃は田中さんに集めて、お前は足を引っ張らない努力をしろよ｣


冷たい、とそう思われるだろうか。
でも、僕はそうは思わない。

ずっと飛雄と一緒に居るせいで考え方が麻痺ってるのかもしれないけど。それでも僕は、彼の考えが間違ってないと思ってしまう。

彼は、勝ちだけを、見つめているから。


日向｢俺が満足にレシーブできる様になったら、お前は俺にもトス上げんのか｣

影山｢…『勝ち』に必要なやつなら誰にだってトスを上げる。

でも、今のお前が『勝ち』に必要だとは思わない｣


然し、やっぱり飛雄は何故か言い方がキッついね。
もう少しオブラートに包んでくれたらこっちも纏めやすいんだけどなぁ。

田中｢感じ悪っ｣
菅原｢チョイチョイっと上げてやりゃあいいのにな｣

先輩方二人は、僕の隣でそう呟いた。


｢…すみません｣

田中｢んえっ！？｣
菅原｢いや！Aが謝ることじゃないべ！？｣

｢いえ、飛雄の態度が悪いのは事実なので。

…でも。
彼の考えは、間違ってないと僕は思うんです。
飛雄は、『勝ち』だけを見つめている。
それって、簡単なようですっごく難しいんです。手を抜けば、妥協すれば、それはもう上を見るのをやめたと同意義だから。

…だから、あんな風にキツい言い方もしちゃうんです。
と言っても、あの態度が許されるわけではない無いんですけど。

アレのせいでよく、チームメイトともぶつかってましたから｣

と、最後の方で微笑めば先輩方二人は何故か少しの間ポカンとしていて。その間の後、僕はポンポンと二人から頭を撫でられたのであった。

(続く)

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