[33]すれ違う王子と狐 ページ35
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▽ 主side ▽
母「ねぇ、お父さんに言ったら北君とも多分お友達になれるんじゃない?」
画面の北さんの動きを必死に追いかけていれば、母は突然そんな言葉を口に出した。
この話は今まで何度も、母に持ち掛けられたことがある。
まあ正直、父に頼めば特定の選手と知り合いになるなんて、お茶の子さいさいだろうけど。
「いいよ。
自分の力で、北さんに追い付くまで僕は他人で良い。
父さんに頼むのは、狡いと思うから」
母「…あら、そう?
北君とお友達になったら、宮君達とも自然にお友達になれると思ったんだけどな〜。
そして、ウチに遊びに来て欲しかったわ〜」
「やっぱりか」
母は、テーブルに頬杖をついてため息をついた。
女子か。恋に悩む乙女か。
僕は心の中で母にそうツッコミながら、フォークを皿に置いた。目の前の皿は全て空っぽ。
相変わらず、今日も母の料理は美味しかった。
「ご馳走さま。美味しかったよ」
母「あら、ありがとう。
今日もお稽古頑張ってね」
「うん」
母の言葉にそう返して、僕は食卓を後にした。
最後に画面に大々的に映る北さんの顔をもう一度だけ見て、剣道場へと足を向けた。
母「…もうっ、お互い頑固なんだから」
▽ 北side ▽
婆「A君見てんの?」
北「…おん、日課やから」
俺は、毎日スマホに映し出された水宮 Aのプレーを見る。それが俺の日課のひとつ。
でも、勿論繰り返し彼のプレーを見るのには、見るだけの理由があって。
北「綺麗やねん。動きが」
俺の見る彼は、まだ中学生。
でも、歳下でも彼には毎日見るだけの価値があった。
彼は北一という強豪のエースやった。
でも、エースと言うには少し身体が小柄で、華奢な体格。
でも、それすら味方につけるような、ボールのコントロール力。まるで、ボールは自分の身体の一部のように操るんや。
スパイクは力技では無く、コントロールで嫌なとこに叩き付け。ボールは最後まで追い掛け、絶対セッターの嬉しいとこに返す。レシーブも見入るほど丁寧。
それはやっぱり、才能もあるんやろうけど、きっと努力の賜物やろう。
そんで。
北「…プレー中にな、ずっと笑っとんねん」
俺が一番惹かれたのは、それやった。
彼が笑ってチームメイトに声を掛ければ、忽ちチームは安定を取り戻し。彼が居れば、どんな相手にも勝てるという安心感が画面越しにでも伝わってくる程やった。
(続く)
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キラ(プロフ) - 注意書きがしっかりしてあって、とても大好きです、応援しています (2020年4月17日 18時) (レス) id: 7a70193f7b (このIDを非表示/違反報告)
ヒマリ(プロフ) - 遥凪さん» すみません、書き間違えてましたっ(汗) ご指摘ありがとうございます。 (2020年4月6日 16時) (レス) id: b8513fb716 (このIDを非表示/違反報告)
姫テャン(プロフ) - すごく面白くて好きです・・・!これからも更新頑張ってください! (2020年4月6日 15時) (レス) id: bc6dcdcbf2 (このIDを非表示/違反報告)
遥凪(プロフ) - 初コメ失礼します。とても面白くてすぐに読んでしまいました( *´艸`) あ、それと烏野や白鳥沢は宮崎じゃなくて宮城の高校だと思います!(*¨*) これからも続き楽しみにしてます。頑張ってください^_^ (2020年4月6日 14時) (レス) id: d9229dd11c (このIDを非表示/違反報告)
幸ぴろ - すみませんでした!貶されてると 思うようなコメントをしてしまい… 連続になってしまうのですがどうしても 謝りたくて…本当にごめんなさい! (2020年4月6日 12時) (レス) id: ba2c8d8630 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒマリ | 作成日時:2020年3月16日 17時