【ハイ.キュ.ー!!】烏にお気に召された王子様【愛され】

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▽ 主side ▽


｢ふぅー…。結構時間かかったね〜｣

谷地｢でっ、ですねっ｣


委員会も終わったので、筆箱と貰ったプリント類を鞄に仕舞う。ほんと、長かった。自己紹介と委員会の説明だけでこんなに掛かるか。

｢てか、何で敬語？ タメでいいよ｣

谷地｢あっ、では、これからはタメで。水宮さん｣

｢あと、その水宮さんってのも堅いから。
Aとかって、呼んで欲しいな？｣


と言って、隣に座る谷地さんの顔を覗き込んだ。
すると谷地さんは『ん゛っ』という声を漏らして、何故か顔を隠す。


谷地｢じゃ、じゃあA…君｣

｢うん。それでよし｣

谷地｢私もっ、仁花とかで大丈夫、だよ。

って！わぁ！私またなんと大それたことを!!｣

と叫んで、僕の顔の前に両の手のひらを突き出す谷地さん。あの、せめて他のクラスの教室にお邪魔してる状態だからもう少し静かにしようね？

てか、顔真っ赤だし。
可愛いなぁ。
僕がホントに男だったら、普通に好きになっちゃいそう。


｢おけ。じゃあ、仁花ちゃんね｣

と、言うと彼女は再び顔を両手で隠した。
なんか小さな声で唸っているような、いないような。

…あっ。


｢ごめん。僕、これから部活行くから、また明日ね｣

谷地｢へっ、あ、もう部活決めたんだ？｣

｢うん。入学する前から決めてた｣

谷地｢…そっかぁ。

……あっ、じゃ、じゃあ！また明日ね！｣


僕はそんな彼女の言葉にこくりと頷いて、彼女に手を振って教室を急いで出た。

時間かかっちゃったし、もう新しい先輩達も来てるだろうしな。遅れて1人で行くの気まずいなぁ…。
っと、その前に体育館の場所、調べなきゃいけないんだった。




谷地｢……やっぱ、主役級の大天使様は違うなぁ……｣


＊


｢…やば、普通に分かんない｣

結局、体育館の場所は分かんなかった。

さて、今僕は一体校舎のどの辺に居るのかも分かんないのですが。ちょっとまって、僕こういうキャラじゃ無かったよね、北一の時。
皆を支える副キャプテンだったんだけどな、おかしいな。


｢どなたか〜…バレー部の体育館知りませんか〜…｣

なんて、半ばやけになって呟いてみた。まあ、そんなことを言っても教えてくれる人なんて居ないだろうと思って、職員室に行くかと足を向けた時だった。


『お前、体育館探してんのか？』

その声に後ろを振り向けば、そこには僕より小さな背の先輩らしき人が立っていた。

…と言うか、なんかこの人、見た事ある気がする。



(続く)

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