[11]__ 影山side ページ13
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▽ 影山side ▽
それは、突然の出来事だった。
いつもの様に、Aが試合前に俺の調子を聞きに駆け寄って来た。それだけの事だったのに。
隣のコートから飛んできたバレーボールが、運悪くそんなAの頭に直撃して。
そんでコイツは、強く頭を床に打ち付けて、意識を失った。
それからの事は、よく覚えていない。
ただただ、Aが倒れた事に、俺も、チームも焦りまくっていた。
「…へへ、ごめんね。飛雄。
心配、かけちゃって」
そう、目の前で困った様にふにゃっと笑うAはいつもの彼だった。
いつものAなのに、俺の瞳には、もういつものAには見えなかった。
見え方が、変わってしまっていた。
気付かされてしまった、この3日間で。
Aが、目を覚まさなかった3日間で。
「3日間、ずっと寝てたなんて未だに信じらん無いよ。
身体は、確かに思うように動かなかったりするけど…」
そう言って、少し手のひらを動かしてみせるA。
まあ、廊下で聞いてた限り医者は何ともないって言ってたぽいし、心配は無いんだろうが。
ただ、まあ、自覚が無いとはいえ3日間寝たきりだったのは事実だ。
俺は、知ってる。
毎日、面会時間が許す限りコイツのそばに居たから。
手を握っても、名前を呼んでも、コイツが返事をすることはなかった。医者は、その症状を昏睡状態と言っていて、俺にはどうして起きないのかまるで理解出来なかった。
「しっかし、バレーボールで意識失うとは…なんか情けないよ…」
………なんか、勘違いしてるらしいが。…まあ、そこはいいだろう。
「…って、飛雄?
さっきから僕の事無視してない?」
取り敢えず、俺は気付いたのだ。
今まで、Aが俺の傍から、隣から居なくなることなんて無かったから。そんなことが起こるなんて、少しも思っていなかったから。
唐突にコイツ居なくなったことに、俺は酷く動揺させられていた。
そんで、認識させられた。
俺の身体と、頭に。
今まで、向き合おうともしなかった俺の気持ちを。
正直、今まで気付かなかった理由が逆に分かんねぇ。
男だけど、他のどんな女よりも可愛いし、優しいし、笑顔は特に可愛くて、魅力は言っても言い切れない。
────俺は、Aが 好きだ。
好きなんだ。1人の人間として。
ずっと、隣に居て欲しいと思える程。
…でも。
影山「…悪い、A」
今の俺に、そんな気持ちをコイツに伝える資格は無い。
(続く)
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キラ(プロフ) - 注意書きがしっかりしてあって、とても大好きです、応援しています (2020年4月17日 18時) (レス) id: 7a70193f7b (このIDを非表示/違反報告)
ヒマリ(プロフ) - 遥凪さん» すみません、書き間違えてましたっ(汗) ご指摘ありがとうございます。 (2020年4月6日 16時) (レス) id: b8513fb716 (このIDを非表示/違反報告)
姫テャン(プロフ) - すごく面白くて好きです・・・!これからも更新頑張ってください! (2020年4月6日 15時) (レス) id: bc6dcdcbf2 (このIDを非表示/違反報告)
遥凪(プロフ) - 初コメ失礼します。とても面白くてすぐに読んでしまいました( *´艸`) あ、それと烏野や白鳥沢は宮崎じゃなくて宮城の高校だと思います!(*¨*) これからも続き楽しみにしてます。頑張ってください^_^ (2020年4月6日 14時) (レス) id: d9229dd11c (このIDを非表示/違反報告)
幸ぴろ - すみませんでした!貶されてると 思うようなコメントをしてしまい… 連続になってしまうのですがどうしても 謝りたくて…本当にごめんなさい! (2020年4月6日 12時) (レス) id: ba2c8d8630 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒマリ | 作成日時:2020年3月16日 17時