一欠片の愛をPart2【五条悟】

伍拾肆 ページ7

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『失礼します』


「…A、どこ行ってたんだ、心配したんだぞ」


『ごめんなさい、ちょっと物を探してました』


「全く…そこ、座れ。足の傷開いてるんだろう」




言われた通りに座れば硝子さんが反転術式で治してくれた。深かった傷もすぐに治り、痛みも引く。




『ありがとうございます』



「気にするな。それよりあいつは？迎えに行かせたけど会わなかったか？」



『五条先生ですか、会いましたよ。もうすぐ戻ってくると思います』



「…言い合いでもしたか」



硝子さんが真顔で聞いてくる。私が悟さんではなく五条先生と呼んだからだろうか。


これからは五条先生と呼ぶようにしようと学校に帰りながら決めたのだ。もう彼は私の知っている“悟さん”ではないからと。



『いえ、別に。なんでもないですよ。それじゃあ私、お風呂入ったりしたいし一度戻りますね』



「ああ…無理するなよ」




ありがとうございます、と伝えて部屋を出た。ポケットの中のネックレスを握り締める。悟さん、と一度心の中で呼んだ。もう呼ぶことはない呼び名。


五条先生、と続けて繰り返した。


またひとつ、彼との間に距離ができた気がして、寂しさが心を埋めた。



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