甘い乾き

# ' コムドット ' ページ45

全員が沈黙し、この空気を払拭できない中
時を動かしたのはやまとだった。



『…迷惑かけてごめん。皆とこれからも楽しく動画撮るために
ちゃんとAと話す。
悪いけどゆうま、今日のチェック変わってくれない？』


ゆま「分かりました」



あっちゃんが柔らかい表情を浮かべながらうんうんと頷く。



ひ「ちゃんとAの話聞いてやれよ」



やまとが一人一人メンバーの顔を見る中
一人だけ合わない視線があった。



『ゆうた、』



彼だけはずっと頭を上げなかった。
もう背負わなくていいあの日の責任で、押し潰されてるように。



ゆた「ごめんなやまと、全部俺が」


『ちがう。きっかけはお前でもAと俺の首絞めたのは
俺自身だから。
俺こそごめん。ゆうたも苦しめてんの、気づかなくて』



あたしから離れたやまとがゆうたの方へ向かう。
俯いたままのゆうたをしっかり抱きしめて
小さい子をあやすように左右へ揺らした。



全員が微笑んで2人を見守る中、声をかけてくれる人がいた。



ゆま｢良かったね。ひゅうがに従って正解だったじゃん｣


｢…そうだね｣


ゆま｢今度またゆっくり飯行きましょうよ、やまとも込みで笑｣


｢もちろん。ゆうまメニューも見れなかったもんね笑｣



ゆうまの頭に影が出来る。
のっしのっし歩いてきた大きな壁は、
ほっぺたを膨らませながら仁王立ちするやまと。



『おいハゲ』


ゆま｢ハゲてないもんっ！｣


｢やまとがゆうたのとこ行くから相手してくれたんだよ、
謝りなさい｣


『はい。すみませんでしたハゲ親父』


ゆま｢反省してないじゃん笑｣



1年ぶりに感じる ' コムドット ' の空気感だ。
またこんな日に還ってこれるなんて想像もしなかった。



……ありがとう、



ひ｢ん？なーんだよー笑｣



ひゅうが。

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