紅一点ちゃんの秘密

No,34 ページ34

「活動休止……」






涼介の脱退ではなく活動休止にしてほしいという提案には驚いた








正直、彼は理由を問い詰めて言わないなら辞めるなくらい言うと思っていたから









それだけ彼は筋の通っていない事が嫌いで








やめるにしても続けるにしても何か‘‘けじめ‘‘をつけるべきだと考えるような









芯の通ったしっかりした人だから








それなのにファンのためとはいえ









仮にもずっと活動してきたグループを辞めたいと自ら言っているくせに









ろくにその理由も話さないで辞めたいとだけ言った私に








逃げ道を作るような提案をしたのは心底意外だったのだ。









「そう、活動休止。悪い提案ではないと思うけど
多分脱退よりかは話した時メンバーも説得しやすいだろうし」









確かに決して悪い提案ではない









ただ、それは私が純粋にこのグループで活動したくないと思っていればの話









今の私には正直未練がある









そんな状態で活動休止という選択をしてこのグループと繋がりを少しでも残せば









きっと私はそこに甘えて帰りたくなってしまうだろう









「A？」









そんなことを考えて黙り込んでいれば名前を呼ばれた









顔を上げると有無を言わせないとでも言うような光の宿った目があった









それを見ていたらなんとなく本当になんとなくだけど









涼介が活動休止を提案した本当の理由が分かった気がして









今ここでこの提案を断ったらそれこそ








理由を問い詰めて言わないなら辞めるなと言われそうだと思った









きっとこの提案は涼介の優しさだ。








それをふと理解して考えるのをやめて提案を受け入れることにした。

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