君と見たあの空を (ページ8)

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あ、ミルクティー

さっき自分が買おうとしていたそれを見て

佐野さんもミルクティー飲んだりするんだなぁ、なんて呑気に考えていた。

「コレどうぞ」

そう言って今さっき佐野さんが買ったものを差し出されて困惑する。

『え？』

意味が分からなくてただ見つめ返せば

「ミルクティー好きなんですよね？
あ、違うものがよかったですか？すみませんじゃあどれがいい？」

なんて自販機に向き直ってもう一度お金を入れようとする佐野さん

『いやいや、好きですけど、買おう思ってましたけど、、どうして？』

好意でやってくれているのは分かるけれどその意図が分からず尋ねると

「この間ライブにきてくれたお礼です」

そう当たり前のように言ってのける佐野さん

『いや、そんな悪いですよ受け取れません』

「ほんの気持ちなんで受け取ってください」

受け取る事を断ろうとしても、そんな困ったように言われたら受け取るしかない

『すみません、ありがとうございます』

「いいえ」

ニッコリ笑って首を振った佐野さんに頭を下げる

『大切に飲みます』

そう言って受け取ってそれでもやっぱり申し訳ないから

私も好きな飲み物奢ります。そう言おうと思ったら

一足先に佐野さんは自分の分のコーヒーを買ってしまっていた。

『……また、今度、なにかお礼させてください』

「そんな気を使ってもらわなくて大丈夫っすよ」

その言葉に戸惑っているのが顔に出ていたのだろうか

バチリと合っている目をゆったりと細めた彼は

「まあでも、また会った時はよろしくお願いします」

『あ、はい、約束ですよ！』

クルリと踵を返した彼の背中にそう告げればペコリと頭を下げて颯爽と去っていってしまった。