君と見たあの空を (ページ46)

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自分で自分に落ち着けと何度も心の中で呟いて深呼吸をする

荒くなった呼吸が漸く落ち着いてきた所で部屋に鳴り響いた着信音。

思わずビクリと大きく肩をゆらした。

『……れぉくん』

恐る恐る除いたディスプレイに表示された名前に心から安堵した。

『……はい』

そっと呟いた言葉

「あ、Aさん？夜遅くにすみません」

なんて明るい声が聞こえてきて無性に泣きたくなった。

『……大丈夫』

努めて普通を装って言った筈なのに

「……なんか、元気ない？」

なんてすぐに気がついてしまう彼に少し笑えた。

女優なのに、演技下手すぎたかな？

『玲於くんの声聞いたら元気出たから大丈夫』

「ふはっ、何それ？」

私の返事に玲於くんは可笑しそうに笑ってる

『ありがとう』

沢山の思いが込められたそれは電波に乗って彼に伝えられる。

「……どういたしまして」

暫くの沈黙の後に紡がれたその言葉にはどんな意味が込められていた？