君と見たあの空を (ページ44)

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お会計はスマートに玲於くんが済ませていた。

「俺きら誘ったし楽しかったから」

なんて気を遣わせない言葉選びをする彼は何処までも素敵な人だ。

行きましょう。そう言って先を行く彼について外に出る。

キャップを被ってマスクをしてる玲於くんと

バケハを被って眼鏡をかけてマスクをしている私。

お互いに顔はほとんど見えないくらいの変装姿

方向が一緒でたいして距離もないからと二人でその道のりを歩く

『凄く美味しかったし楽しかった』

「良かったです」

『また行こうね』

幸せな気持ちいっぱいで先を歩く彼の背中に伝えれば

「じゃあ早速明日にでも食べにきましょうか」

なんて言ってニヤニヤと悪戯っ子のような顔をして振り返る玲於くん

『そうだね集合時間は、、朝5時とか？』

悪ノリしてそう返したらフハッって吹き出した。

「店やってねー」

そのままクスクス二人で笑って、暗い暗い夜道を二人で歩いた。

先を歩いていた彼は歩幅を合わせてくれているのかいつの間にか隣にいて

街灯に照らされて影が二つ浮かび上がった。

あの日、偶然彼に拾われたあの公園が見えてきて

あぁ、もうすぐ着いちゃうな。なんてぼんやり思う。

「今日は公園で寝ちャダメですよ」

揶揄うようにそう言った彼は笑ってる

『寝ないよ、あの日も帰るつもりだったし』

「でも寝ちゃったんでしょ？」

痛いところを突かれて押し黙った。

なんだかまた辱められている気がする。

黙りこくる私にアハハッて声を上げて笑った玲於くんは

「改めまして、今日は楽しかったですか？」

なんてインタビューをするみたいに手でマイクを演出して聞いてくる。

『凄く楽しかったよ』

「俺も楽しかったです」

答えを聴くと彼は安心したように笑う。

そうやって細められた目元に見つめられて無性に泣きたくなった。

一歩、また一歩とあの公園が近づいて

公園の入り口の前に来たところで彼が突然立ち止まってコッチを見るから

私も立ち止まって玲於くんを見上げた。

数秒間お互い何も言わずにただ見つめ合う。

そして彼は少し真剣な顔をして

「……また行きましょーね」

なんて見つめあったまま言う。

『うん。。また行こうね』

そう言った声は震えてなかったかな？

もうお別れだと言う事実が寂しかった。

それでも''また''なんて言う言葉に胸が踊った。

「約束だよ」